【ウィーン=藤田剛】国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は21日、日本経済新聞などに対し「今後も中国やインドなどで原発は増え続ける」との見通しを示し、「福島第1原子力発電所の事故の影響はそれほど大きくない」と語った。日本政府が検討するストレステスト(耐性調査)については「IAEAは原発の再開と結びつけて考えていない」と述べ、稼働しながら実施すべきだとの認識を示した。
天野事務局長は「事故で少し拡大のペースは落ちるものの、原発はなくなるわけでも減るわけでもない」と指摘。ドイツやスイス、日本などで始まった「脱原発」の動きは世界的な潮流にはならないとの見方を示した。
「原発が今後も増加するからこそ事故の教訓を生かして安全性を強化することが必要」と主張。IAEAは9月に開かれる理事会と総会に、世界的に実施するストレステストの概要などを盛り込んだ行動計画を提出する方針という。
IAEAの行動計画がまとまる前に日本が独自にストレステストに動いたことは「欧州連合(EU)も部分的に始めており、さみだれ式にやっているのが現状」と語り、問題視しない考えを示した。ただ、「原発の安全は常に進化するもので、日本以外の多くの国はテストのたびに停止する仕組みにはなっていない」と説明した。
福島県から出荷された牛の肉から基準を上回る放射性物質が相次いで見つかった問題については「(原因となった)牧草などの除染についてIAEAとして支援したい」と述べた。
天野事務局長は25日、福島第1原発を視察し、事故の収束に向けた作業の進捗状況を確認する。その後、菅直人首相や海江田万里経済産業相らと会談する方向で調整している。
天野之弥、IAEA、原発、海江田万里、菅直人
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