アップル新本社ビル 息づくシリコンバレーの反骨
海外とっておき シリコンバレー支局・岡田信行

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2011/6/11 13:31
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 アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が明らかにした新本社の建設計画がシリコンバレーで大きな話題になっている。着陸した宇宙船にも、SFアニメに登場する宇宙ステーションにもみえるドーナツ型のオフィス棟は、4階建て。日本の読者の多くは、その外観もさることながら、アップルほどの大企業の本社が4階建てという点に驚くかもしれない。

アップルのジョブズCEOが地元クパティーノ市議会に提示した、斬新なデザインの新本社の建設イメージ=同市サイトから
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アップルのジョブズCEOが地元クパティーノ市議会に提示した、斬新なデザインの新本社の建設イメージ=同市サイトから

 シリコンバレー企業の本社は軒並み3~4階建てだ。アップルだけではない。グーグルも、フェイスブックも、インテルも同様だ。10階建てを超えるような高層ビルに本社を置く企業は、サンフランシスコやサンノゼといった都市部を除けば、まずない。

 あるベンチャー投資会社の幹部が面白いことを言っていた。「高層ビルでネクタイ締めて働きたいヤツは東海岸に行く。シリコンバレーに残るのは、そういう見てくれに興味がないギーク(オタク)な連中だ」。そういう彼のオフィスも、スタンフォード大学を望む高台の2階建て。もちろんエレベーターなどない。

 シリコンバレーも実は土地が余っているわけではない。パロアルトなど中心部のオフィス賃料は高く、大都会の市街地にも匹敵する水準だ。高層ビルの林立する大都会との違いは、土地の広さにあるのではなく、根底にある文化や価値観の違いに起因しているように思える。

カリフォルニア州クパティーノ市にあるアップルの現本社=AP
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カリフォルニア州クパティーノ市にあるアップルの現本社=AP

 シリコンバレーの中心地、パロアルト市。スティーブ・ジョブズ氏の自宅にもほど近い住宅地に「シリコンバレー誕生の地」という表示板がひっそりと掲げられた民家がある。その裏にある小さなガレージこそ、アップルの新本社予定地の持ち主だったヒューレット・パッカード(HP)が72年前に産声を上げた創業の地だ。

 表示板には、スタンフォード大の同級生だったHPの創業者ウィリアム・ヒューレットとデービッド・パッカードに、大学の恩師フレデリック・ターマン教授が「東海岸の出来上がった企業に就職するより、ここで起業しないか」と助言。2人が助言に従って起業したことが記されている。

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