深刻な被害の恐れ 4号機燃料棒、圧力容器の外に

2011/3/15付
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 東京電力の福島第1原子力発電所の現状が深刻になってきた。2号機が原子炉の心臓部に近い格納容器の一部が破損したほか、定期検査中で運転を停止していた4号機で火災が発生した。水素爆発によって建屋が吹き飛んだ同1、3号機の被害を上回る恐れがある。

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 4号機は定期検査中で、使用済み燃料は原子炉の中心部から外されてプールの中に漬かっていた。冷温停止状態で燃料を抜き出したものの、まだ燃料は高温状態だった。地震により冷却水を循環させるシステムが止まり、プール内の水の温度が上がった。通常はプール内の温度は25度だが、午前4時の段階で84度まで上がっていたという。

 プールの水が高温になって水蒸気が発生し、燃料表面の金属と反応して、水素が発生したとみられる。その水素が建屋の屋上付近にたまり、水素爆発が起きた可能性が高い。この爆発を引き金に、火災が起きたと推測している。

 火災が発生したのは、4号機の原子炉建屋の5階屋根付近。2号機で15日午前6時14分に爆発が起き、従業員を一時退避させたこともあり、火災の確認は9時38分だった。同日午前6時14分に発生した2号機の爆発との因果関係は不明という。

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 現在、使用済み燃料が入るプール内に水があるかどうかは不明で、東電は調査を急いでいる。プールに水がなければ、燃料からは放射線物質が放出される。炉内に燃料があれば、圧力容器、格納容器、建屋の順番で放射線物質の漏えいを防ぐとりでがあるが、4号機のケースでは建屋しかない。放射性物質が外部に放出させる危険性が高まった。

 一方、2号機で問題になっているのは、格納容器の底部にある圧力抑制室と呼ばれる部分。緊急事態に圧力容器内に注水するための水源となっており、放射性物質を多く含む。ここになんらかの損傷や欠陥があると、水が送れなくなるほか、放射性物質を含んだ気体や水が建屋に漏れ出す恐れがある。また、建屋は1号機や3号機と同じように内部に水素がたまっている可能性も否定できず、水素爆発を起こせば、一気に放射性物質を含んだ気体や水が周囲に拡散してしまう。

 2号機では放射性物質を隔離する最後の砦(とりで)といわれる格納容器が破損し、非常用の水の注入ができない状態が続くと、圧力容器内で燃料棒が水から露出しつづける可能性が高い。すると、露出部分が高温で溶け、下に燃料そのものが落ちる。制御棒で囲まれている間は核分裂を抑えていたが、溶け落ちることで圧力容器の底で、再び核分裂が始まる。燃料棒の冷却が進まず、「メルトダウン」と呼ばれる完全な炉心溶融が起きる可能性も高まり、放射性物質が完全に建屋の外に出る可能性が高くなる。

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