特養の内部留保3億円超、1施設平均 「過大」指摘

2013/5/21付
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 社会福祉法人などが運営する特別養護老人ホーム(特養)の内部留保に注目が集まっている。厚生労働省が21日公表した委託調査によると2011年度末時点で平均約3億1千万円で、総額では2兆円規模。過大な内部留保を福祉サービス拡充や職員の待遇改善に活用すべきだとの指摘はやまない。厚労省が15年度に予定する介護保険制度改革の論点になりそうだ。

 社会保障審議会の専門委員会で調査結果を示した。12年9~12月に実施し、対象の特養6104施設のうち1662施設(27.2%)について内部留保を把握。繰越利益に相当する「次期繰越活動収支差額」と人件費や施設整備関連などの積立金を合計して算出した。

 内部留保は1施設平均で3億1373万円となり、ほぼ同じ算出基準を使った10年度末時点の3億782万円から横ばい。調査対象の特養全てが同額の内部留保を抱えると見ると、総額は1.9兆円超となる。平均の総資産額は9億7827万円。外部から「内部留保が過大」と指摘された後も実態が変わっていないことが明らかとなった。

 特養については、11年ごろから「内部留保を過大にため込んでいる」と批判する声が強まり出した。厚労省が11年末に示した内部留保のデータを分析する形で、12年7月には財務省が特養の財務状況について発表。内部留保が多額なほど、利用者負担を軽くする措置の実施率が低いほか、会計処理が不適切な施設もあるなどと指摘した。

 特養の内部留保を単に施設の維持運営に限らず「新たな福祉サービスの提供に充てて社会に還元すべきだ」(キヤノングローバル戦略研究所の松山幸弘研究主幹)との声は多い。介護は他の産業に比べ賃金が低水準にとどまり離職率が高い問題もあり、特養の内部留保を職員の処遇改善に使うべきだとの指摘もある。

 ただ特養の側からは「多くが土地や建物など固定資産に投入され現預金として積み立てていない」「建て替えに備えた資金が必要」などの異論や不満も多い。そこで厚労省は現預金を主とする「実在内部留保」を新たに定義した。この場合、1施設あたり平均額は1億5563万円となる。

 だが「多額をため込んでいる施設は少なくない。特養で純資産額が総資産額の約8割も占めるのは過剰」(松山氏)との批判はやまない。専門委員会でも「資金の使途を明らかにすべきだ」などとする指摘が相次いだ。

 厚労省は医療や介護、生活支援などのサービスを地域で一体提供する「地域包括ケアシステム」を、団塊の世代が75歳以上になる25年までに実現する方針。そのサービス提供の担い手の一つに特養などを経営する社会福祉法人を位置付けるが、特養や社福法人への厳しい批判は見過ごせない。

 厚労省は全ての社会福祉法人の財務諸表についても公表する方針を決めている。特養の内部留保をめぐる議論は、「埋蔵金論争」として今後社福法人全体に広がる可能性がある。

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