景気回復、地方にも 日銀、全9地域で景気判断を上方修正

2013/10/21付
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 景気回復が地方にも広がっている。日銀が21日発表した10月の地域経済報告(さくらリポート)は全国9地域全ての景気判断を上方修正した。観光客の増加や公共事業増を背景に、北海道や九州・沖縄の景況感は約22年ぶりの高さ。2000年代の景気回復は都市部や東海地方に恩恵が集中した。円安に伴う経済の活性化や積極的な財政支出をテコに今回の回復は全国に広がっている。

 全ての地域が上方修正となるのは4月以来半年ぶり。9地域中、北陸を除く8地域で景気判断に「回復」との文言が加わった。北海道と四国で「回復」の文言が入ったのは、さくらリポートが始まった2005年以降で初めて。

 「観光が絶好調だ。ホテル、タクシー、レンタカー、どこに聞いても景気が良い」。札幌支店の曽我野秀彦支店長は同日の記者会見で、足元の北海道経済の好調ぶりを強調した。道内企業の景況感を示す日銀短観の地域別業況判断DIは9月調査で1991年以来、約22年ぶりの高さ。

 東南アジアを中心に北海道観光の人気が高まっていたところで、政府がビザの発給要件の緩和を実施。円安に伴う需要の増加をうまくつかんだ。格安航空会社(LCC)の就航も国内観光客の伸びに貢献した。同じく22年ぶりの景況感の高さとなった九州・沖縄も事情が似ている。

 安倍政権が打ち出した大型補正予算などの公共投資も景気のけん引役になっている。北海道、東北、九州・沖縄では「大幅に増加している」との判断を示したほか、他の地域も軒並み「増加」との文言を盛り込んだ。

 公共工事の請負金額をみると、7~9月期はいずれの地域も前年同期比2桁増だ。安倍政権は、2000年代に定着した公共事業削減の流れを逆転。13年4~6月期の名目公共投資額は2000年代の最低水準(08年4~6月期)の1.2倍に膨らんだ。

 懸念は輸出の動向だ。大阪支店の櫛田誠希支店長は「海外需要のけん引力は、やや力不足」と発言。製造業が集まる東海地方も、自動車輸出が米国向けに堅調に推移しているが「新興国の減速が心配」(宮野谷篤・名古屋支店長)という。

 昨年から続く円安の恩恵が必ずしも全ての地域に広がっているわけではない。福岡支店の市川能英支店長は「発注元の大企業が海外に生産拠点をシフトしており、中小企業の受注が増えない。円安でエネルギー価格が上昇しており収益が圧迫されている」と語る。長引く円高で生産拠点が海外に流出した影響から下請け企業の生産活動は盛り上がりが欠けるようだ。

 観光と公共事業という2つの需要に支えられ、アベノミクスは幅広い地域の経済を盛り上げている。ただ、財政支出など一時的な刺激策に頼った面もある。息の長い景気回復が続くためには、地域の産業の自律的な成長が、所得や雇用の増加に波及するという好循環が各地で起きる必要がある。

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