東電の送電分離案、政府内で急浮上 電力各社は反発も

2011/5/16付
共有
保存
印刷
その他

 東京電力の発電部門と送電部門を分離する案が、政府内で急浮上してきた。東電福島第1原子力発電所事故をきっかけに長年の地域独占を見直し、新規参入を促すしくみを取り入れる内容だ。ただ、供給体制の抜本的な見直しとなるだけに、電力各社の反発も避けられそうにない。実現に向け課題は山積している。

 日本の電力は電力会社による発電と送電、小売りまでの一貫体制になっている。電力自由化の流れで電力ビジネスへの新規参入組も生まれたが、東電などの送電網を自由に使えるわけではない。

 3月の計画停電の際も電力の小売業者にあたる特定事業者は販売網を断たれた。東電が送電インフラを握るためだ。加えて、電力会社に払う送電線の賃借料は顧客に販売する電気料金の約2割を占めるとされる。送電網を握る大手電力が差別的な取り扱いをして新規参入を阻んでいるとの指摘もあり、電力販売に占める新規参入組のシェアは3%に満たない。

 枝野幸男官房長官は16日の記者会見で東電の送電部門分離について「選択肢としては十分あり得る」と発言。週末には玄葉光一郎国家戦略相(民主党政調会長)も「発電と送電の分離など電力事業の形態の議論を妨げることはない」と述べており、政府・与党で電力会社の地域独占体制の見直し機運が高まっている。

 政府は13日に決めた東電の賠償支援スキームに「電力事業形態のあり方などの見直しの検討を進め、所要の改革を行う」と明記。中長期の課題と位置付けた。ただスキームには野党から「東電救済策だ」との批判がつきまとう。国会論戦を乗り切るためにも、電力事業のあり方への切り込みを迫られている。

 電力会社の送電分離は、1990年代から議論が続く課題。既存の電力会社による一貫体制を見直し、新規参入事業者が送電設備を使いやすくすることが狙いだ。欧州では英国やドイツ、フランスなどが90年代に入ってから相次いで発電と送電を分離した。送電ネットワークが整備済みの先進国では、利点の方が大きいとされる。

 ただ電力会社からの反発は根強い。電圧など電気の品質を安定させにくくなるほか、電力の完全自由化につながるとの理由だ。経済産業省は約10年前に送電分離を目指したが、東電などが押し返した経緯がある。

 新規参入組にあたる全国の独立系発電事業者の発電能力は約740万キロワットで、このうち3割超の260万キロワット程度が東電管内。東電は賠償スキームの中で政府の管理下に置かれるため、比較的分離を実現しやすい。

 もっとも株式上場した民間企業の分割を政府が決められるのかという課題もある。東電の発電と送電の分離が実現に向けて動き出せば、他電力にも分離論は波及する。電力業界全体の反発へと広がれば、賠償のために設立する機構への各電力の負担金などにまで波乱が及ぶ展開も考えられる。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

北海道 27日 7:01
27日 7:00
東北 27日 7:02
27日 7:01
関東 27日 7:01
27日 7:01
東京 27日 7:01
27日 7:00
信越 27日 7:00
27日 7:00
東海 27日 14:00
27日 7:05
北陸 27日 6:10
27日 6:01
関西 27日 6:02
27日 6:00
中国 27日 6:02
27日 6:00
四国 27日 6:02
27日 6:00
九州
沖縄
27日 2:00
26日 21:52

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報