賃金攻防、脱デフレ視野 経団連6年ぶりベア容認

2014/1/16付
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 2014年の春季労使交渉が15日、事実上スタートした。経団連は同日発表した14年の労使交渉の指針で、賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)を6年ぶりに容認する方針を打ち出した。物価上昇に見合った賃上げは経済の好循環に不可欠だが、業績の回復度合いは企業によってばらつきが大きい。脱デフレをにらむ労使交渉は厳しい綱引きになりそうだ。

 「長い冬が終わり、南風も吹いてきた」。労使交渉を担当する経団連の宮原耕治経営労働政策委員長(日本郵船会長)は、足元の景況感をこう表現した。

 輸出企業を中心にした業績の回復は内需企業にも広がっている。労使交渉の指針である経営労働政策委員会報告は今まで「論外」としてきたベアに関して「ここ数年と異なる対応も選択肢になる」との表現で容認した。

 足元で物価上昇率が1%を超え、4月に消費増税も控える。民間調査機関は増税後の4~6月期の実質経済成長率が前期比年率で4%以上のマイナスになると予測。賃上げで家計の収入を増やし負担増を和らげなければ国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費がしぼみ、脱デフレが遠のきかねない。

 安倍政権の再三の賃上げ要請に加え、景気失速が企業業績の腰折れにつながるリスクも考慮し、経団連は前向きな姿勢に転じた。ただ具体的な賃上げの手法に関しては、激しい議論になりそうだ。連合は定期昇給維持分の2%に加えて、一律1%以上のベアを要求。経団連側は「経済状況を考えれば、要求すること自体は理解できる」(経団連幹部)としつつも、最終判断は個別の交渉に委ねる方針を示している。

 企業経営者の間では「持続的な企業の成長への自信はまだ持てない」(電機首脳)との意見はいまだに根強い。

昨年12月20日の政労使会議に出席した(右から)連合の古賀会長、経団連の米倉会長(首相官邸)
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昨年12月20日の政労使会議に出席した(右から)連合の古賀会長、経団連の米倉会長(首相官邸)

 法人企業統計によると、金融危機直後の09年1~3月期に3.5兆円まで落ち込んだ日本企業の経常利益季節調整値、金融・保険以外の全産業)は、13年7~9月期には14.6兆円となり、危機前の水準まで回復した。だが、リストラや足元の円安効果など一時要因が大きい。

 賃金交渉の指標となる売上高を見ると、13年7~9月期が323.3兆円で、危機直前に比べ50兆~60兆円少ない。「賃金分配よりも成長持続に向けた投資が必要」。こうした見方も根強く、ベアを含む賃上げをためらう経営者は少なくない。

 12年度に29.1兆円だった社会保険料の企業負担は、自然増で年々増え続けて25年度には41.1兆円まで達する見通し。脱デフレは企業の経営環境の改善につながるが、ベアを含む賃上げの動きが産業界に広がるかは微妙な情勢だ。

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