ツイッターと上手に付き合う術 ビジネスツイッター総点検!(5)

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2010/5/7付
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 顧客の生の声をリアルタイムで把握できるサービスとして注目を浴びる「Twitter(ツイッター)」。ただし企業利用を考えるなら、(1)月間でのべ30分前後のシステム停止が起こるが、今後も安定性の大幅な改善は望めない、(2)本格的な利用にはツイッターの外部サービスやアプリケーションが必要になる――の大きく2点を理解したうえで、つかず離れずの距離感を保って利用する必要がある。

 ツイッターを企業で使うなら、メッセージインフラとしては一歩引いて扱う必要がある。現在は「毎月30分は止まる」といった程度の安定性である点を知っておきたい。

 スウェーデンのピングドムによる観測によると、ツイッターの2007年の稼働率は98%台でしかなかった。この当時は連続して半日~1日もサービスが停止する有様だったのだ。

「さらに安定するのを待つ」のはきびしい

 その後、ツイッター社のエンジニア自身が開発したソフトウエアの組み込みと、Webサービスの屋台骨となる通信回線およびデータセンターにおけるNTTアメリカとの提携により、年間稼働率は99%超にまで向上。2010年に入ってからの月間稼働率は、99.8%から99.9%の間で推移している(写真1)。これは「月に30分から1時間半は止まる」という計算になる。

 しかし、「さらに安定するまで導入を見送る」というスタンスは取りにくい。膨大な数の利用者が次々とツイート(メッセージを投稿)する負荷に対して、過大なシステム投資を避けつつ、システムを順次改善するという“いたちごっこ”を続けるのが、ツイッター社のDNAと言えるからだ。少なくとも、これまでの同社のシステム増強の歴史を見るかぎり、ツイッターに先行投資の文字はない。

 2010年3月時点のツイッターの利用者数は、米コンピートの調査で約8000万人に上る。米国時間2009年7月14日に流出したツイッターの内部文書には、「もし10億のユーザーがいれば、それは地球の鼓動になる」という一文がある。これは、ツイッター社自身が「ツイッターの価値はユーザー数そのものにある。拡大路線を突き進もう」と考えていることの現れと言える。もっと厳密に言えば、ツイッターの価値を左右するのは、互いに“購読関係”を結んだ膨大な数の利用者の投稿情報にある。それゆえ、とにかくアクティブな利用者の数を増やさなければツイッターに未来はない。

 だがツイッター社の収益源は、米マイクロソフトや米グーグルが検索サービス内で表示する情報の利用料と、バナー広告程度しかない。2006年の創業以来、確固とした収益源を持たないツイッター社はシステム投資を必要最小限に抑えざるを得なかったとも言える。

身の丈に合ったシステム投資を続けてきた

 拡大路線を突き進みながらもシステム投資を最小限に抑える戦略を支えたのが、米アマゾンドットコムの子会社が運営するクラウドコンピューティング・サービス「Amazon S3(アマゾン・エススリー)」である(図1)。

 Amazon S3とは、使った分だけ利用料を払うオンラインストレージ・サービスだ。ショッピング・サイトのアマゾンドットコムのインフラ技術を転用した巨大なデータセンターを米国と欧州に持つ。ツイッターの画像やプログラムの多くは、S3に保管されている。このため本来必要なストレージ装置への初期投資が不要になる。利用者数の伸びに応じて利用料が変わるため、過剰投資は起こらない。

 しかも日本からツイッターを利用する場合、その処理の多くが日本国内の配信サーバーでまかなわれる。S3のオプションサービスである「CloudFront(クラウドフロント)」を利用しているからだ。ツイッターが本拠を置く米国と日本の間は約8000km離れている。光速に近い速度で伝わる電気信号であっても、日本と米国を往復する時間が利用者の体感速度に悪影響を与える。CloudFrontを使うことで、利用者を最寄りの配信サーバーに誘導できる。実測してみると、通信の往復にかかる時間は10ミリ秒前後。米国との通信にかかる160ミリ秒前後の遅延に比べれば微々たるものだ。

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