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東大など、くしゃくしゃに曲げても壊れない有機EL光源

2013/7/29付
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 東京大学 工学系研究科 教授の染谷隆夫氏らは、くしゃくしゃに折り曲げても動作するシート状の有機EL光源を開発したと発表した。開発した有機EL光源シートの最小曲げ半径は10μm、輝度は100cd/m2である。同氏らは、医療・健康用センサの新しい光源としての応用などを期待している。

くしゃくしゃに折り曲げたり伸縮させたりしても動作する

有機EL光源シートの構造と主な仕様

 染谷氏らは7月25日に、同じようにくしゃくしゃに折り曲げても動作する、羽毛よりも軽くて柔らかい圧力センサ・シートを発表したばかり。この開発では、電子回路の構成要素であるトランジスタ(有機TFT)アレイをフィルム基板上に形成することに成功した。また、2011年には同様に薄くて軽い有機太陽電池を開発している。太陽電池は光を電気に変換する素子であり、光センサの一種といえる。

 今回の有機EL光源の開発によって、有機TFT(電子回路の構成要素)、光センサ、発光素子という、医療・健康用センサに必要な要素がすべてがそろい、1枚の超薄型シートに集積化できるメドが立ったという。血中酸素濃度など生体情報の計測には、光源と光検出器を組み合わせた装置が広く用いられていることから、光をプローブとしてさまざまな生体情報を計測できる医療・健康用のウエアラブル・デバイスへの応用を、染谷氏らは期待している。

 開発した有機EL光源シートの単位面積当たりの質量は、25日に発表したセンサ・シートと同じく3g/m2と軽い。また、厚さも2μmと薄く、しなやかに曲がる。厚さ1.4μmと薄いプラスチック・フィルム基板に有機EL素子を直接積層する独自の作製技術を確立し、軽くて柔らかい有機EL光源を開発した。

 開発の決め手になったのが、有機EL素子の製造技術と構成材料の工夫である。今回、製造工程中にダメージを受けやすいプラスチック・フィルム基板の上に有機EL素子を直接形成するために、プラズマを用いる高エネルギーの成膜プロセスが必要なITO(酸化インジウムスズ)を電極に使うことをやめた。代わりに、低温・低エネルギーのスピン・コート法で成膜できる導電性高分子(PEDOT:PSS)を電極(陽極)に利用している。このPEDOT:PSSはホール注入層の材料として使われていたが、今回のような光源用途の有機EL素子では陽極としても使えることを見いだした。

 なお、染谷氏らは今回の研究をオーストリアのヨハネス・ケプラー大学(Johannes Kepler University of Linz)で教授を務めるSiegfried Bauer氏およびNiyaze Serdar Sariciftci氏のグループと共同で進めた。研究成果の論文は2013年7月28日(英国時間)に学術誌「Nature Photonics」のオンライン速報版で公開された。

(日経エレクトロニクス 田中直樹)

[Tech-On! 2013年7月29日掲載]


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