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車載用リチウムイオン2次電池で今、何が起こっているのか

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2010/5/24 9:00
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 電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)といった電動車両を動かす電池の本命とされるリチウム(Li)イオン2次電池。その市場をめぐる電池メーカーの覇権争いが、世界を舞台に急展開を見せつつある。

 現状のLiイオン2次電池の市場は、ノートパソコンや携帯電話機などに向けた小型品を中心に年間1兆円に満たない規模である。それが、車載用電池の増産をきっかけに大化けするとみられている。5年後には3兆円を超える規模にまで成長するという予測もあるほどだ。これまでLiイオン2次電池の製造は、そのほとんどを日本や韓国、中国といったアジア圏のメーカーが担ってきたが、新たな巨大市場の出現を目の前にして、米国や欧州の企業もLiイオン2次電池の製造に加わりつつある。

 本記事ではまず、世界的に活発になっているLiイオン2次電池の製造に対する設備投資の状況を詳しく調べ、続いて電池技術の最新動向について解説していくことにしたい。

図1 リチウムエナジージャパン(LEJ)のLiイオン2次電池セル

図1 リチウムエナジージャパン(LEJ)のLiイオン2次電池セル

1兆円がつぎこまれる

 車載用電池の量産体制の確立で先行したのは日本である。GSユアサ コーポレーションと三菱商事、三菱自動車の合弁会社であるリチウムエナジージャパン(LEJ)が、三菱自動車のEV「i-MiEV」に向けたLiイオン2次電池の量産を2009年6月に開始した(図1)。現在、同社の生産能力は年間20万セル(i-MiEVで2300台分。セルは電池の基本単位。小さなセルをたくさん組み合わせて電池モジュールとする)。設備投資によりこの能力を徐々に強化し、2012年度下期には年間600万セル(同6万7800台分)にまで拡張することを計画している。

 これを上回る量産体制を早急に築こうとしているのが、日産自動車とNECグループの合弁会社であるオートモーティブエナジーサプライ(AESC)である(図2)。2010年12月に日産自動車が発売予定のEV「リーフ」に搭載されるLiイオン2次電池の製造を担当するためだ。日産自動車はリーフを中心とするEVを年間5万台規模で生産する体制を日本で構築するほか、2012年には米国での生産を開始し、日米で年間20万台を生産する予定である。

図2 オートモーティブエナジーサプライ(AESC)のLiイオン2次電池モジュール
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図2 オートモーティブエナジーサプライ(AESC)のLiイオン2次電池モジュール

 リーフ1台当たりだと196セルのLiイオン2次電池を搭載するので、年間5万台で計算すると980万セル、年間20万台では3920万セルの量産体制の確立が必要になる。2012年時点で比べると、前述のLEJの6倍以上のセルを生産するという強気の計画となる。

 世界では数多くのメーカーが車載用Liイオン2次電池の大規模な量産計画を表明し始めている。中でも、韓国と中国の投資額は大きく、積極的だ。韓国LG Chem社は、米国子会社のCompact Power社を含めて2013年までに約1000億円を投資するほか、韓国Samsung SDI社が2020年までに約4400億円をLiイオン2次電池事業に投資するという。特にLG Chem社は、米General Motors社のプラグインハイブリッド車「Volt」や韓国Hyundai Motor社のHEVにLiイオン電池の供給が決まっていることから、強気の投資を進めている。

 中国では、BYD社とTianjin Lishen社が2010年までにそれぞれ年間1000MWh(i-MiEVで6万2500台分)に生産能力を拡充する計画を立てている。中国だけでも直近で2000億円以上の投資が見込まれている。

 一方、政府が一体となって生産体制の構築を加速させているのが米国だ。米オバマ政権では、景気刺激策である「ARRA(American Recovery and Reinvestment Act)」において14億9190万米ドル(約1420億円)分を電動車両用の2次電池生産に投じる計画を発表している。このARRAの投資を受けるには、その企業がほぼ同額の別資金を準備することが条件となるため、総額では約30億米ドル(約2900億円)が車載用2次電池の生産のために投資されることになるのだ。

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