最適な治療法や予防策に活用 医療現場は臨床レベルへ
遺伝子ビジネス最前線(下)

(1/3ページ)
2011/10/24 7:00
共有
保存
印刷
その他

東大医化学研究所ヒトゲノム解析センターに保管されるDNA
画像の拡大

東大医化学研究所ヒトゲノム解析センターに保管されるDNA

 「遺伝子情報とこれまでの生活習慣などを考慮すると、あなたが60歳でガンになる確率は6割です」――。健康診断でこんな予測をもらえる日はそう遠くないかもしれない。医療の現場では、遺伝子から得られる情報をもとに、将来の病気のかかりやすさを予測・予防したり、発症後や手術後の薬剤の種類や投与を個人ごとにきめ細かに処方したりする研究が急ピッチで進められている。

 東京のJR目黒駅から徒歩15分。東京大学医科学研究所のゲノム解析センターに、「世界最大級」規模の遺伝子情報が貯蔵されている。全国から特定の病気を持つ人のDNA(デオキシリボ核酸)を20万人分強も集めた。

 がんや糖尿病の原因を明らかにし新薬開発に結びつけるほか、遺伝子の特徴を調べて薬の副作用を避けたり、投薬量を個人ごとに変えたりする「オーダーメード医療」に役立てるためだ。同センターは国内で12の医療機関、65の病院と連携し、これまで47疾患で計32万の症例を蓄積してきた。

「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」のシンポジウム。左端がリーダーの久保充明氏
画像の拡大

「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」のシンポジウム。左端がリーダーの久保充明氏

 文部科学省が主体となって2003年に始まった「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」は、今年で9年目を迎えた。「プロジェクトで集めたDNA情報をもとに、糖尿病に関する新たに2つの遺伝子の領域を特定できた」。東京大学医学部付属病院の門脇孝院長は、同プロジェクトの研究成果を語る。飲酒や喫煙などの環境要因とがんやアルツハイマーといった病気の発症リスクの関係性を研究する玉腰暁子・愛知医科大学教授は、「日本全体の数%をカバーしている」と同プロジェクトの規模の大きさを評価する。

 「これまでは遺伝子情報を収集して基礎研究に取り組んできた。今後は研究段階から実践的な臨床に移っていく」(同プロジェクトのリーダーを務める理化学研究所の久保充明氏)。例えば将来、患者が自分のDNA情報を記録したICカードを病院で提示すると、その人に最適な治療が受けられるような体制づくりを進めている。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 3ページ
  • 次へ
共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

関連キーワードで検索

グーグルDNAサムスングループ日立製作所IBM凸版印刷

【PR】

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

TechIn ピックアップ

2017年7月21日付

  • アマゾンのアプリで実店舗の決済を―「Amazon Pay Places」が始動
  • ユーザーはいつサイトを見ているのか? 「朝型サイト」「夜型サイト」行動ログ調査
  • 近い将来に飛躍的進歩が期待される最新テクノロジー5選

日経産業新聞 ピックアップ2017年7月24日付

2017年7月24日付

・セーフィー、小型監視カメラ 暗闇もくっきり
・早大、食物アレルゲンすぐ検出 半導体素子で電流の変化測る
・住友化学、二酸化炭素(CO2)分離膜を事業化 まず化学工場に導入
・ジャパンマリンユナイテッド、造船所ごとに役割明確に 船種を分担
・EPAで資格得たインドネシア人、医療・介護施設を紹介 人材紹介のアプリ…続き

[PR]

関連媒体サイト