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世界最大規模の実証、ピーク時は家電自動制御 横浜プロジェクト

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2013/9/24 7:00
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 横浜を舞台に進められている横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)は、次世代エネルギー社会システム実証の4地域の中でも、最も規模が大きい。2010年度から始まり、2014年度の最終段階にはCEMS(地域エネルギー管理システム)によって4000世帯もの家庭とICT(情報通信技術)で情報をやりとりするなど、世界的にも参加者は最大規模になる。一戸建ての住宅のほかにもマンションや商業ビル、工場のEMS(エネルギー管理システム)と連携するなど、多様な需要家を抱える大都市型のCEMSとして、その実証の成果が注目される。

 CEMSの一般的な機能は、出力変動の大きいメガソーラー(大規模太陽光発電所)やウインドファーム(大規模風力発電所)を最大限に受け入れること、そして緊急ピーク時などにデマンドレスポンス(需要応答:DR)によって需要を制御することなどがある。YSCPは、世界有数の電力需要の密集地域での実証であることを踏まえ、多種多様な需要家をCEMSと連携させることで、需要を制御・平準化することが大きな目的となっている。

 2013年7月現在、ICTでつながっている住宅のHEMS(住宅エネルギー管理システム)は1900。さらにビルのBEMS(ビル管理エネルギーシステム)が6、マンション2棟、社宅2棟のMEMS(マンションエネルギー管理システム)、工場のFEMS(工場エネルギー管理システム)1カ所がICTとつながっている。これら需要家のEMSとの間でエネルギー関連情報をやり取りし、DRなどの実証を進めている。住宅の実証参加者は最終的には4000世帯を目標にしている。

 システムを構築・運用しているのは、東芝とアクセンチュアの2社で、基幹システムは、東芝が開発したスマートグリッド用の監視システム「μEMS」を採用した。「μEMS」は、YSCPのほか、沖縄県宮古島、米国ニューメキシコ、フランス・リヨンなどのスマートグリッド実証にも導入されている。

■エネルギー使用履歴を見える化

 「μEMS」は、EMSの統合制御のほか、再生可能エネルギーの出力変動をほかの電源で調整するマイクログリッド(小規模送電網)的な運用制御などさまざまな機能がある。東芝・スマートコミュニティ事業統括部の篠原哲哉理事は、「YSCPにおけるCEMS実証の特徴は、エネルギー使用履歴を“見える化(可視化)”して需要家にフィードバックすること、そして緊急ピーク時などにDRで需要制御する機能に特化していること」と話す。

 2011年度までに累計で約680世帯のHEMSと連携して、エネルギー使用履歴の見える化を実施し、省エネ意識の向上を促すことで約10%の電力需要の削減を達成した。2012年にDRの実証を試行的に開始し、2013年度から本格化させた。これまでのDR実証で、マンションに対しては5~15%の二酸化炭素(CO2)削減効果、ビルに対して17~22%のピーク時の需要抑制効果があることが確認されている。

■大容量蓄電池とDRを連携

 YSCPにおけるCEMSシステムの構成は、3層構造になっている。各BEMSはまず統合BEMSサーバーが、各HEMSはHEMSサーバーが管理し、CEMSは統合BEMSとHEMSサーバーと情報をやりとりする仕組みだ。

 加えて複数の大型蓄電池(合計650kW)を東京電力の変電所に設置し、直接、電力送電網とCEMSにつなげているほか、CEMSは需要家の設置した定置型蓄電池を監視制御する。これらの蓄電池は、「SCADA(監視制御システム)」という制御ソフトによって統合管理されており、CEMS運用者は個々の蓄電池の状態を意識することなく、SCADAに充放電の指令を送るだけで、蓄電池を使ったピークカットなどを実施できる。

 これまでの技術実証で、SCADAで蓄電池を統合管理できることを確かめており、今後、DRと蓄電池を統合制御する計画だ。大容量の蓄電池をDRと連携させることで、ピーク時の需要削減量を予測しやすくなったり、需要家に過度な需要抑制を要請しなくても済んだりする可能性が出てくる。東芝では、蓄電池を活用することで需要家の行動を大きく制約することなくピークを削減する「穏やかなDR」が実現できると見ている。

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