DeNAの場合は、独禁法が定める拘束条件付き取引の具体的な行為類型のうち、特定の者と取引しないことを要求する場合など「取引相手方の拘束」や、競合品の製造販売を禁止する場合など「その他相手方の事業活動の不当拘束」に抵触する可能性があると見られる。
国内の例では、98年に家庭用ゲーム機「プレイステーション」を製造販売するソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が同様の理由で排除勧告を受けている。SCEが小売店や卸売業者に、新品ソフトを希望小売価格で販売する、中古品を取り扱わない、業者間で商品の横流しをしない、といった方針を守るよう要請。従わない場合は、商品の出荷を停止したり、契約を解除したりしていた。SCEは勧告を応諾せず審判に入ったが、公取委は01年に違法とする審決を下し、SCEはこれに従った。
取引相手方の拘束などは違法性の判断が難しい。DeNAの南場社長も「違法性があるとは認識していない」と語っており、勧告や審決まで長引く可能性が高い。判断は公取委に委ねるとして、なぜDeNAは公取委に問題視されるような行動をとったのか。「携帯ゲームをめぐる競争激化による囲い込み」と言えばそれまでだが、腑に落ちない点が多い。
「国内の競争はまったく見ていない」と南場社長
そもそもDeNAの10年7~9月期決算は、「怪盗ロワイヤル」を筆頭とする内製のソーシャルゲームがけん引し、売上高は前年同期比3.2倍の271億円、純利益は同4.5倍の76億円と絶好調を維持。一方、同期間のグリーの売上高は同1.8倍の124億円、純利益は同1.7倍の37億円と成長率でも金額でも引き離しており、激しいデッドヒート、という状況ではなかった。
前述したようにモバゲーはオープン化でもGREEに先んじており、モバゲーにゲームを提供する会社は、12月時点で約350社と、同130社のグリーを大きく引き離している。「SNS2強の争いがあまりに熾烈」と水を向けても、南場社長は「えっ、そうですか?」「国内の競争はまったく見ていない」と意に介さず、グリーに対して対抗意識を剥き出しにするようなことはなかった。
青少年保護の対策にかける姿勢を見ると、利益優先で違法行為にあたりそうなことをするほど、脇の甘い会社とも思えない(詳しくは「SNSを悩ます『出会い系』問題の深淵」を参照)。社風も南場社長いわく「ピラミッド型の組織ではなく、社員全員が球の表面のピースを埋めるような、フラットなイメージ」を志向。田中社長が「高度成長期を、この会社だけでやろう」と号令をかけ、「モーレツ社員」の集団を目指すグリーとは対照的だ。
そう考えると、競争が激化し、DeNAの尻に火がついた結果、という見立てはやや強引に思える。業界内には「グリーへの報復」という「泥仕合説」も流れた。テッククランチがDeNAの措置を報じ、問題が顕在化して以降、「モバゲーと関係する開発会社を先に切ったのは、グリー」という話が業界内をめぐったことがある。
「開発会社さんがどこに出していようが、歓迎します」と田中社長
名前が挙がったのは、モバゲーで人気を博している戦国シミュレーションゲームの「サムライ戦記」や野球チーム育成ゲームの「やきゅとも!」などを手がけるポケラボ(東京都千代田区)。同社はモバゲーのオープン化当初からモバゲーにゲームを提供しており、サムライ戦記、やきゅとも!ともに、2カ月で100万人以上のユーザーを集めた実績がある。話の概略はこうだ。
ポケラボとグリーは10年春、オープン化の本格展開に先立ち、水面下で「連携していきましょう」として話を進めていた。ところが4月、ポケラボの2人の取締役が設立にかかわった総額30億円のファンドに、DeNAも25億円を拠出することが判明。直後、グリーが激怒し、ポケラボとの話はご破算になった、という。ファンドは9月、ポケラボに出資した。12月時点で、GREEにポケラボのゲームはない。
この件について、グリーは「当初、ポケラボさんとは戦略的なパートナーとしてお話を進めさせていただいていた。その過程で、先方から説明がないまま、DeNAがファンドへ参加するという発表があったため、ビジネス上、信頼ができないという理由で、白紙となった」と説明する。さらに、「公取委による立ち入り検査の前の週に、GREEのオープンプラットフォームにもアプリを提供いただけないかと提案に伺っていたところで、閉め出す気など毛頭ない」とする。
グリーの田中社長も、「このタイトルは共同開発したいからモバゲーより先行してくださいとか、独占しましょうとかっていうことは、別問題としてはあるかと思うんですけども、我々としては、やはり開発会社さんが一番儲かる形になるのがいいんじゃないかなと思っていて。基本的には開発会社さんがどこに出していようが、歓迎します」とオープンな姿勢を強調する。









