人間に挑み続けて30年 古参ソフト「柿木将棋」は進化する

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2012/2/19 7:00
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 日本古来のボードゲームである将棋の楽しみ方は、通信とコンピューターの進化によってこの10年で大きく変わった。1970年代に開発が始まったとされる将棋ソフトの実力は、現役のプロ棋士を脅かすほどに進化。1月に元名人を公開対局で破ったことも記憶に新しい。インターネットの活用で相手が遠くにいても対局でき、プロ棋士の対局はどこからでもチェックできる。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)やタブレットで動くデジタル書籍との連携も始まっている。

iPad版の「柿木将棋」を持つ柿木義一氏
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iPad版の「柿木将棋」を持つ柿木義一氏

 主なネット中継ソフトやデジタル書籍を開発するのは、将棋ソフトの開発を30年にわたって続けてきた柿木義一さん(52)。自身の名を冠した「柿木将棋」をベースに、棋譜をデジタル化し、アプリを連携させた新しい将棋の楽しみ方を提案している。

■ネット中継の局面を使い、デジタル書籍を検索

 将棋名人戦の挑戦者を決めるA級リーグ戦が佳境を迎える2~3月は、棋界が最も注目を集める時期。同リーグ最終戦がある日は「将棋界の一番長い日」と呼ばれ、大盤解説会には多くのファンが詰めかける。2012年は3月2日に予定されている。

 重要な対局は、インターネット中継されるのが当たり前になった。パソコンや携帯電話で動く中継アプリが、現在の局面を表示し、初手からの指し手を1手ずつ再現する。中継ソフトは、従来型携帯電話(フィーチャーフォン)を除きパソコン版のほとんどとスマホ版は柿木氏の手による。

 iPhone版とiPad版の中継アプリには、もう一つ特別な機能がある。ライブ中継の局面を基にデジタル書籍を検索して、同じ局面を説明したページを表示してくれるのだ。

中継アプリ(左)を基に局面を検索(中)するとその局面と同じデジタル書籍ページ(右)を開く
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中継アプリ(左)を基に局面を検索(中)するとその局面と同じデジタル書籍ページ(右)を開く

 以前の対局を頭に入れておくことは、勝利への近道とされる。特に手数が進んでいない序盤は、以前の対局と同じ局面が出現する例が少なくない。しかし記憶力が高いプロ棋士はさておき、一般の将棋ファンには同じ局面を見つけ出すのも一苦労。雑誌などのバックナンバーから同じ局面を見つけ出して該当の記事に当たることができれば、指し手1手ごとの理解を深められる。

 「デジタルの書籍を、対局中の局面から検索できないのか」――。デジタル書籍の開発は10年5月、日本将棋連盟モバイルの編集長を務める現役棋士の遠山雄亮四段(当時・現五段)と柿木氏の雑談から始まった。柿木氏はその翌日には、中継アプリとデジタル書籍が連携するイメージ図を創り上げていたという。

 アプリ連携の鍵を握るのは、将棋の1手1手を記録した「棋譜データ」。デジタル書籍に棋譜データを埋め込んでおくことで、ほかのアプリから局面を検索できるようにした。

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