NFC 「スマートフォン決済」の普及担う次世代規格
2011年IT注目ワード

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2011/1/6 7:00
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 国内ではKDDIが10年春に、NFCを搭載した携帯電話を使った実証実験を始めている。ソフトバンクモバイルもオリエントコーポレーション、クレディセゾン、米マスターカード・ワールドワイドなど8社と、アンドロイド搭載スマートフォンを使った実証実験を11年1月に始める予定だ。

 米国でも、携帯電話会社のAT&Tモビリティ、T-モバイルUSA、ベライゾン・ワイヤレスの3社が「ISIS」という合弁会社を設立。決済サービスの実現に向けて準備を進めている。

NFC関連技術の標準化団体「NFC Forum」のWebサイト
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NFC関連技術の標準化団体「NFC Forum」のWebサイト

 背景には、モバイル決済という巨大市場を巡る業界や企業の主導権争いがある。NFCを使ったサービス機能を具体的にどう端末に組み込むかによって、携帯電話会社、端末メーカー、サービス事業者それぞれのビジネスチャンスも変わってくるからだ。

 ソニーとNXPセミコンダクターズ、フィンランドのノキアが04年に立ち上げた「NFC Forum」は、NFCを端末に搭載する仕組みの標準化を進めてきた。同フォーラムには日本からはNTTドコモ、NEC、ソニーなどが参加。ほかに米ビザ、マスターカード・ワールドワイド、ノキア、韓国サムスン電子などがメンバーに名を連ねている。

 NFC ForumがNFC用アプリケーションを端末に搭載する仕組みとして提示した方式は3つある。1つは端末内に内蔵する方式、2つめはSDカードなどの外部メモリーカードに記録して端末に挿入する方式、3つめは携帯電話会社の契約者情報などを記録する「SIMカード」に搭載する方式だ。

 端末内蔵型ならメーカーの関与が強まり、SDカード型なら外部のサービス事業者も幅広く参入できる。携帯電話会社の世界的な業界団体「GSMA」は、「Pay-Buy-Mobile」という分科会をつくり、3つめのSIMカード方式を推奨している。

 KDDIとソフトバンクモバイルの実証実験はいずれもPay-Buy-Mobileの仕様を採用し、海外携帯電話会社とも共通化を図ろうとしている。この方式では当然、携帯電話会社が主導権を握ることになる。「NFCはSIMカード方式になりそうな情勢」(日本の携帯電話会社関係者)というとおり、現時点では携帯電話会社を中心としたモデルが構築されそうだ。

■ビジネスモデル構築では課題山積

 ただ、仕様共通化とサービスが普及するかどうかは別の話だ。スマートフォンで世界シェアを伸ばす台湾HTCのピーター・チョウ最高経営責任者(CEO)は、「スマートフォンにNFCが必要かと言われれば、まだわからないというのが現状だ。日本の場合、NTTドコモという強力な旗振り役がいたからこそ、一気におサイフケータイが普及した。世界を見ると、そういった企業はないに等しく、NFCのサービスが世界に普及するかは未知数と言える」と語る。

 また、日本の店舗などに普及している読み取り装置は主にフェリカにしか対応しておらず、NFC対応の端末を持ち込んでもフェリカ以外の規格で使えるところは限られる可能性がある。世界と共通で使えるようにするには、読み取り装置を置き換える必要が出てくるが、その負担をだれが引き受けるかも課題となるだろう。

 NFCによって、日本で成功を収めたおサイフケータイが世界に広がる下地はできた。だが、技術が整い機能が端末に搭載されても、ビジネスモデルの構築という面では課題が山積している。それを取り除いて世界規模でビジネスを花開かせるキープレーヤーが出てくるのか。11年の注目点となりそうだ。

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