中部電の上越火力、12月試運転 電力安定の切り札に

2011/10/8付
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 中部電力は7日、新潟県上越市で建設中の上越火力発電所を報道陣に公開した。中部電にとって約21年ぶりに新設する、11番目の火力発電所だ。来年7月の一部営業運転を前に、12月にも試験運転での発電が始まる。電力供給面で来夏は強力な戦力となるほか、余力十分といえない今冬の供給も非公式ながら支えることになる。

 日本海の埋め立て地にある上越火力発電所。高さ150メートルの煙突と液化天然ガス(LNG)を貯蔵する大型タンク、発電設備が入る建屋が立ち並ぶ。建屋には2系列の4つの発電設備が並ぶ設計で、来年7月に営業運転を始める1号系列の1号機(1―1号機)はほぼ完成。8日にはLNG運搬船が専用桟橋に初めて着岸、燃料を得て運転準備は大詰めを迎える。

 4つの発電設備は14年5月までに順次運転を始める。総出力は238万キロワットと中部電の火力発電所では5番目の規模だ。他の火力が伊勢湾岸に集中するのに対し、初めて日本海側に立地する。

■リスク分散狙う

 「長野県への電力安定供給と温暖化対策、それとリスク分散。これが建設の狙いだ」と、中部電の現地担当者は話す。

 上越火力が完成すれば長野県の電力需要の8割を効率的に賄える。日本海側にあるため、太平洋側の地震で伊勢湾岸の設備が被災した場合の備えにもなる。また、熱効率(投入燃料あたりの発電量)は58%と旧式のLNG火力よりも20ポイント程度も高い。フル稼働すれば二酸化炭素(CO2)を大幅に削減できる。

 さらに上越火力は今冬の「陰の戦力」になり得る。浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の停止で電力の供給余力が乏しい状況にあるためだ。発電所の中央制御室内には「目指せ 一歩前に進んだ試運転。供給力確保で期待に応えよう」との標語が掲げられる。

 1―1号機の営業運転は来夏だが、実は11月に試験運転を始め12月にも発電を始める。試験運転なので供給の正規の戦力には計上できないが、発電すれば長野県の家庭などに電気は供給される。

 中部電が4日発表した冬の需給計画では、予想最大電力需要に対する予備の供給力(予備率)は7%前後と、安定供給に必要とされる8%に届いていない。だが上越1―1号機が試験運転中に仮にフル稼働(59万5千キロワット)すれば、単純計算で予備率を3%近く押し上げる効果がある。

■単独開発に転換

 上越火力は1990年代の当初計画では、1~3号系列を東北電力と共同で開発・運営し、1号系列は07年に運転する予定だった。2000年代に入り電力自由化と景気低迷で経営環境が急変し、中部電は02年に計画を5年間延期し、1~2号系列を単独開発する方針に転換した経緯がある。

 浜岡原発は少なくとも来年中の再稼働は困難とみられ、電力需給は予断を許さない。今年夏は自動車メーカーなどが稼働日を調整して協力したが、来年夏もここまでの協力を得られるかは不透明。こうした状況下で一度は持て余した上越火力に注目が集まる。

 12年夏になれば1―1号機は正式に供給の戦力に加わり、13年1月に営業運転を始める1―2号機(出力59万5千キロワット)も12年夏に試験運転に入るとみられる。建設工事と運転開始準備が混在するため順調に進むとは限らないが、需給安定の切り札として期待感はいやが上にも増している。

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