東京都が中央卸売市場築地市場(中央区)の移転計画で建設工事の予定価格を6割、約400億円引き上げたことが27日分かった。東日本大震災の復興事業をきっかけに公共工事の入札が成立しない事態が増えたが、入札予定価格をここまで引き上げるのは異例だ。人件費や資材費の高騰の影響が首都の大型プロジェクトにも及んだ形だ。
築地市場の移転先となる豊洲新市場(江東区)の主要3施設の再入札を来年2月に実施する。予定価格を前回11月の628億円から1035億円に引き上げた。6割超、約400億円という大幅な上乗せは「ケタ違いで過去の例と比較できない」(都の担当者)。
都の大型工事では、2020年五輪の会場になる武蔵野の森総合スポーツ施設(調布市)で7月の入札が成立せず、10月の再入札で工事業者が決まった。その際の上乗せ幅は1割未満だった。
入札不調の原因は費用の高騰に対し発注者側の予算が少なく、ゼネコンが応札できないことだ。東京地区の鉄筋工の賃金は1日1万7千円前後と震災前に比べて5割前後上昇した。マンションの鉄筋に使う異形棒鋼の大口需要家渡し価格は震災前と比べ7%上昇。予定価格の引き上げについて都は「業界情勢を踏まえた結果」と説明する。
入札不調は福島、宮城、岩手の被災3県から始まった。会計検査院の調査では、11年10月から12年9月の復興工事のうち21%で入札が成立しなかった。賃金の高い東北へ全国から作業員が集まり不調が全国に広がる。
都の幹部は「大規模工事は人が集まらず迷惑がられてしまう」とため息をつく。20年五輪の施設整備費は約4500億円と見込むが、大幅に膨らむ恐れがありそうだ。







