「震災取材ブログ」は特集「東日本大震災2年」に移転しました。地震、津波、原発事故の複合災害となった震災の被災地で日々取材を続けている記者たちの思いを、引き続きつづっていきます。
隣の女性が、すすり泣く。前に座った男性がハンカチで目元をぬぐう。12月4日、福島県いわき市の映画館「ポレポレいわき」は涙にぬれていた。スクリーンに映されたのは「がんばっぺ フラガール!」。東日本大震災で大きな被害を受けた市内のリゾート施設「スパリゾートハワイアンズ」の懸命な復旧を追ったドキュメンタリーだ。
いわきは、かつて炭鉱で栄えた街。エネルギー政策の変転で苦境に陥った1960年代半ば、けん引役だった常磐炭鉱(現常磐興産)がリゾート事業を始めた。以来、半世紀近く、浮き沈みはあれど、ハワイアンズは地域のにぎわいの源だった。
今秋公開された映画には、崩れ落ちたプール設備などの惨状がまざまざと映し出されていた。踊る場を失ったフラガールたちは全国キャラバンに出ることになった。
「被災者は自分のつらさを重ねずにはいられないんだろうね」とポレポレいわきの管理会社、世界舘統括次長の福田まり子さん。地元ゆかりの作品ということで12年2月のハワイアンズ全面再開まで異例のロングラン上映を続ける。
同じ映画館で、今度は笑いがはじけた。12月15日に開いた初めての寄席は定員100人の会場がいっぱいに。出演した柳家一琴さんは「こんなに喜んでもらえるとは意外だった」と打ち明ける。「福島県は被災地のなかでも暗いイメージがあった。(原発事故の影響で)先が見えない状況で(落語は)難しいかなと思っていた。でも大声で笑う姿を見ると、少しずつでも前に進んでいるんだなと感じられた」
いわき市には原発周辺からの避難者も多数集まる。世界舘社長の鈴木修典さんはつぶやく。「この街は到底、復興といえる段階ではない。まだまだ復旧に手間取っている」。震災から9カ月。元の生活を取り戻せた人は少ない。鈴木さんも、福田さんも家族が離ればなれになったままだ。皆、泣かずにいられない時がある。しかし笑える時もある。年の瀬の映画館に光と影が交錯する。(舘野真治)
世界舘には、高校時代によく映画を見に通いました。磐城高校が甲子園で準優勝したころです。野球部の部員たちが「切符モギ」などのアルバイトをしていて、割引券のおこぼれがありました。いわきの人たちが元の生活を取り戻せるまで時間がかかると思うけれど、地域の集いの場として、がんばってほしい。
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