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自動車の期間従業員、時給1200円でも集まらない理由

2011/8/18 7:00
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自動車の生産は回復基調にある
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自動車の生産は回復基調にある

 自動車メーカーが9月以降の増産に向け、工場で働く期間従業員の大量採用を進めている。トヨタ自動車やホンダの募集時の月給は時間に換算すると1200~1300円。デジタル家電や電子部品の工場従業員の時給が1100円程度なのと比べると高めだ。ところが、人がなかなか集まらない。背景には工場ワーカー特有の給与システムがある。

■過酷な自動車工場、短期で稼ぎにくく

 「工場従業員は支払総額で職場を選ぶ傾向が特に強い」。大手製造派遣・請負会社の社長はこう語る。工場で働く期間従業員や派遣社員の数は、工場の繁閑に応じて増減する。働く側も短期間の就労を想定している場合が多く、短期間でできるだけ多く稼ごうと考える。

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 そのため、残業に応じる従業員も多い。デジタル家電や電子部品の場合、作業は緻密だが長時間の残業にも耐えられると言われる。しかし、自動車工場は「かつて3K職場の代名詞と言われたように過酷」(人材会社の役員)だ。規定の労働時間以外の残業が肉体的に厳しいため「総額でみると、自動車よりデジタル家電などの方が稼げるケースも多い」(前出の社長)。

 それでは従来、自動車メーカーはどのようにして従業員を集めていたのだろうか。自動車需要が減退した2008年秋のリーマン・ショックの前は、入社時に支払われる祝い金や一定期間勤めた後に支払われる慰労金などが大盤振る舞いされていたという。

■正社員への道や福利厚生では人気出ず

 ところが、リーマン・ショック後は基本的に人余りの状態となり、祝い金などは姿を消した。今回の募集再開の局面でも当初は祝い金などの提示はほとんど見られなかった。リーマン・ショック後の雇い止めによるイメージ低下も重なり、求職者の間では敬遠ムードが広がった。

 自動車メーカーなどは正社員への登用、人材会社は福利厚生や教育制度の充実を工場ワーカーのインセンティブにしようとしているようだ。しかし製造派遣・請負大手、アウトソーシングの土井春彦会長兼社長は「労働者が重視するのは何にもまして給与」と断言する。そもそも雇用期間が不安定な期間従業員や派遣社員は「雇用リスクが大きい分だけ、正社員より給与水準を高くするのが当然の論理」という。

 土井会長兼社長は「長期雇用の正社員で固定費を増やすよりは、高時給でも外部労働力を使って変動費に変える方が結果的に人件費は低減できる」とも指摘する。自動車業界は特に国内雇用への責任意識が強いとされ、その人材戦略からは目が離せない。

(商品部 田上一平)

「価格は語る」は原則毎週木曜日に掲載します。


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