対アジア連携、TPP軸に 同時並行で交渉、実利狙う

2012/11/21付
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 アジア太平洋地域をめぐる2つの経済連携が20日、交渉開始に向けて動きだした。枠組みの参加国の顔ぶれの多くは重なるが、日本にとっての狙いや抱える課題は異なる。日本は環太平洋経済連携協定(TPP)を軸に据え、同時並行で交渉を進めていく方針だ。それぞれの枠組みから得る実利を見極める交渉戦略が必要となる。

 野田佳彦首相と再選したオバマ米大統領との会談は今年4月以来。半年ぶりの首脳外交は当初の予定の半分の25分であっさり終了した。首相はTPPを推進する姿勢に理解を求めたが、衆院選を控える日本の政局を見据え、米側は突っ込んだ議論には応じなかった。

 日本にとってTPPは首相が「同時並行で進める」とする経済連携のなかでも最も重要な枠組みだ。物品にかかる関税を原則撤廃するうえ、投資や知的財産保護などの分野でも共通のルールづくりを目指す高い水準の自由貿易協定だからだ。同盟国の米国が参加する唯一の枠組みでもあり、早期参加を目指している。

 日本がアジア太平洋地域で取り組む経済連携はTPPのほかに、中韓との自由貿易協定(FTA)と東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓など16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)がある。日中韓FTAとRCEP関係国は20日、ともに交渉開始を宣言し、来年早期の交渉入りで合意した。

 日本の輸出総額に占める中韓の割合は30%、RCEP15カ国は実に48%に達する。FTAの締結で自動車などにかかる高い関税を下げたり、撤廃したりすれば、それだけ日本からの輸出増の効果は高まる。ただ新興国を多く含むRCEPの貿易自由化率を目標とする9割程度に高めるのは難しいとの声もある。

 日本は中国と尖閣諸島、韓国と竹島の問題を抱えており、日中韓FTAもぎくしゃくしそうだ。3カ国の貿易担当相が交渉開始を宣言した20日、恒例の首脳による握手など派手なセレモニーはなかった。実務者間の交渉は来春までスタートしない。3カ国は領土問題とFTAを切り離して進める姿勢を示しているものの、先行きは不透明感が漂う。

 国内産業の保護・育成を目指す中国が、日韓が求める工業分野などでの市場開放にどの程度応じるか読めない面もある。日本企業は関税のほか、現地生産に伴う投資や知的財産保護などのルールづくりも注視しているが分野を広げれば、交渉が長引く懸念もはらむ。

 12月16日の衆院選では各党がアジアの経済成長をどう取り込むかで政策を競う。TPP交渉参加の是非に注目が集まりがちだが、TPPをテコに、アジアを舞台にした経済外交でどう主導権を握るか戦略を示す必要がある。早大の浦田秀次郎教授は「日本にとって必要なのは市場開放と構造改革だ。TPPは好機になる」と指摘している。

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