成長戦略、「痛み」は先送り 混合診療などに触れず

2013/5/15付
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 政府は14日、産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)で6月にまとめる成長戦略の主な項目を提示した。医療開発の司令塔づくりや特区制度下の規制緩和には一定の前進がみられる。一方、混合診療解禁や解雇ルールなど痛みを伴う改革は早くも議論の対象から除いた。金融、財政政策に続くアベノミクス第3の矢とするには踏み込み不足が目立つ内容といえる。

 甘利明経済財政・再生相は14日、1月から議論してきた成長戦略の37の主要項目を示した。成長戦略は新しい市場をつくる「戦略市場創造」、企業の再生をはかる「産業再興」、海外進出を促す「国際展開」の3分野で構成し、個別の政策に数値目標を盛り込む。

 目立つ前進は組織づくりだ。市場創造の柱となる医療では技術開発の司令塔「日本版NIH」を創設。3つの省庁に分かれていた機能を一つにまとめ実用化を急ぐ。科学技術の司令塔である総合科学技術会議も省庁横断型の研究開発を始める。

 産業再生でも一定の進展があった。助成金の配分を見直して、政策の重点を雇用維持から、成長産業への転職支援に転換。多くの女性が働けるよう待機児童を解消する。

 一方、踏み込み不足が目立つのが税制や規制の分野。民間議員から高い法人実効税率の引き下げ要求が相次いだが、財務省は消極的でゼロ回答。

 保険診療と保険外診療を併用する混合診療の解禁も、医療業界の反対が強く見送りとなった。企業の農地所有の自由化も広がりがなく、強固な「岩盤規制」にはくさびを打ち込めないままだ。

 改革を訴えるはずの民間議員が及び腰になった面もある。企業の経営を厳しく監視する独立取締役の選任を義務付ける提案は、「大企業トップの民間議員が導入を嫌がった」(関係者)ことで先送り。解雇ルールの法制化でも、野党や世論から批判を浴び、最終段階の提言で要請を削除した。

 政府のなかでも「痛みの伴う改革は環太平洋経済連携協定(TPP)で打ち止め。7月の参院選前にこれ以上は踏み込めない」(経済官庁幹部)といった声も出ている。

 政府の関心は政策の中身から発信方法に移りつつある。麻生太郎副総理は戦略を伝える「四文字熟語」のスローガンが必要と提案。安倍首相も「国民や世界にどうメッセージを発信するか議論してほしい」と指示した。

 甘利経財相は会議後の記者会見で内容の踏み込み不足を指摘され、「秋に向けた議論が発生することもある」と参院選後の会議の再開を示唆した。ただ6月にまとめる成長戦略は参院選の公約であり、かつ主要8カ国(G8)首脳会議(サミット)に持参する国際公約でもある。一段と踏み込んだ改革を示せなければ、株高を支えてきた国内外の投資家の期待が一変する可能性がある。

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