非在来型資源の1つであるシェールガスへの期待が高まっている。米国で産出するシェールガスを液化天然ガス(LNG)に加工して日本に持ち込めば、割高な価格の引き下げにつながるとして、日本企業も一斉に動き始めた。しかし、シェールガスは天然ガス調達の課題を一気に解消する魔法のつえではない。
環境負荷が比較的低いことからも天然ガスの重要性は高まっているが、シェールガスのブームは過熱気味で、その落とし穴を見極めることも必要になる。
東京ガスと住友商事は、米国産LNGの調達に向けて米社と協議を始めた。米政府の輸出許可を得られれば、2017年にも米東部メリーランド州から輸入を始める。三菱商事と三井物産もルイジアナ州の基地から、それぞれ年400万トンを調達する計画だ。
「今までとは違う値決め方式につなげたい」。東京ガスの棚沢聡原料企画担当部長は語る。米国産LNGの輸入が、割高の原因となってきた価格体系に風穴を開けるとの期待があるからだ。
日本向けLNGは原油価格に連動して価格が決まるのに対し、米国ではガスの需給で決まる。米国の主要なガス指標価格であるヘンリーハブは現在、100万BTU(英国熱量単位)あたり2ドル程度。液化や輸送のコストを加えても同10ドル程度と、日本の輸入価格である同16~17ドルを大きく下回る。
ところが、「米指標価格連動のLNGが常に安いとは限らない」と語るのは三菱商事の黒神雅也天然ガス事業戦略室長。米国のガス価格が上昇し、原油価格が下落すれば原油連動方式のほうが安くなる可能性があるからだ。
実際、06年1月の北米のガス価格に基づくLNGなら同17ドル。原油連動のLNGは同6.5ドルと、今と逆転する。
米国ではシェールガスの生産拡大で、現在は国内のガス供給が過剰な状態。だが、LNG輸出が始まれば需給が引き締まり、価格が上昇する可能性が指摘されている。
日本から見た産地の遠さや、地理的な制約もある。米国東海岸やメキシコ湾岸から日本にLNGを持ち込むにはパナマ運河を通らねばならないが、15年にも予定する拡張工事の完了が前提だ。日本の電力・ガス会社が輸入に利用する容量15万~17万立方メートル級の輸送船は、幅32メートルが上限の今の運河は通過できないのだ。
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