武田、期待の糖尿病治療薬の開発中止 経営にも影

2013/12/27付
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 武田薬品工業は27日、糖尿病治療薬の新薬候補品(パイプライン)の開発を中止すると発表した。次世代の糖尿病薬として2015年度以降の発売を予定し、発売されれば年商2000億円規模の大型新薬になるとみられていた。武田もかつての大型新薬「アクトス」に続く独自製品と位置付けていただけに、生活習慣病分野に依存する経営戦略の見直しを余儀なくされそうだ。

 開発中止の発表を受け、27日の東京株式市場で武田の株価が一時、前日比420円(8%)安の4680円と約1カ月半ぶりの安値を付けた。終値は265円(5%)安の4835円だった。

 中止したのは開発名「TAK875(一般名ファシグリファム)」で、膵臓(すいぞう)にある「GPR40」という刺激を受け取る受容体に作用し、適度なインスリンの分泌を促す効果があるという。既存薬に比べて低血糖や、膵臓(すいぞう)が疲弊する副作用が少ない利点があるとされてきた。

 武田は日米欧や南米、アジアなど約6200人の糖尿病患者を対象にした最終臨床試験(治験)を実施。しかし、一部の患者から肝機能の低下につながる可能性のあるデータが見つかり、肝臓専門の学者5人で構成する独立委員会がデータを分析していた。独立委が肝機能の低下につながるリスクを指摘したため武田は開発中止を決めた。

 糖尿病治療薬で武田は1999年に開発した「アクトス」をピークの08年3月期に年3962億円販売するなど長く主導権を握ってきた。アクトスの特許が切れた中、現在主力の「ネシーナ」は米MSDなどとの競合が激しい。TAK875はアクトス同様、血糖値を下げる作用の仕方の独自性が高く、武田の将来の収益を担うパイプラインとして注目されていた。

 バークレイズ証券の関篤史アナリストは「18年3月期まで年ごとの営業増益率を平均20%とする目標の達成は難しそうだ」と話す。

 武田は糖尿病に限らず、高血圧症や脂質異常症、肥満症など生活習慣病全般で製品をそろえ、他社に対抗する戦略だ。豊富な製品ラインアップでTAK875開発中止を補おうとするとみられるが、それには限界がある。2011年に1兆円を投じて買収した米ナイコメッドも売上高が伸び悩む。がんやうつ病などの新薬開発も進めているが、生活習慣病分野に依存する事業構造からの早期の転換は急務だ。

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