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「ライフライン」としてネットに死角はないか
ネットのチカラ 第6部 震災が変えた(下)

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2011/4/28 7:00
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 3月11日に発生した東日本大震災で、インターネットは社会インフラとしての存在感を改めて世に示した。電話網や携帯電話のメールは機能停止に追い込まれたが、ネットは貴重な通信手段として被災地からの救援・支援要請を伝えた。そんな「ライフライン(生命線)」としてのネットに死角はないのか。震災情報を収集・整理するサイト「sinsai.info」を運営する関治之氏と、インターネットイニシアティブ(IIJ)の鈴木幸一社長に話を聞いた。

「ソーシャルメディアを使いこなせ」 「sinsai.info」の関治之氏

 ――急速に利用者が増えているソーシャルメディアは震災で存在感を増した。

 「被災地でツイッターなどを活用できている人はごく一部だと思う。普段からコミュニケーションに使っている道具だからこそ、非常時にも役立つ。急に利用しようとしても難しい。すべての携帯電話にソーシャルメディアが利用できるソフトを内蔵させるなど、使いこなせる環境づくりが必要だ」

関治之(せき・はるゆき)氏
1975年生まれ。ソフト開発やウェブサイト制作会社を経て2006年シリウステクノロジーズ入社。位置情報サービスの普及を目指す団体「ジオメディアサミット」を主催。東日本大震災発生直後に情報収集し整理するサイト「sinsai.info」を仲間とボランティアで運営
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関治之(せき・はるゆき)氏
1975年生まれ。ソフト開発やウェブサイト制作会社を経て2006年シリウステクノロジーズ入社。位置情報サービスの普及を目指す団体「ジオメディアサミット」を主催。東日本大震災発生直後に情報収集し整理するサイト「sinsai.info」を仲間とボランティアで運営

 「インフラとなるシステムも日ごろからの準備が欠かせない。我々は地震が発生してから4時間後にsinsai.infoを開設したが、たまたま別の用途でシステムを用意していたのが奏功し、早期に立ち上げることができた」

 ――ツイッターの効用は。

 「今回のような広範囲にわたる災害の場合、マスメディアや非営利組織(NPO)がすべての避難所を回って情報を収集するのは不可能だ。ツイッターは、被災者が必要な物資や援助などの情報を自ら発信する手段になった。sinsai.infoにも救援や必要な物資の依頼に関するツイッターの投稿が登録された」

 「我々もサイトの運営にツイッターを活用し、システム構築やデータ入力作業のボランティアを募った。システムエンジニアや翻訳家など合計250人が集まった。震災発生後しばらく自宅待機となった人も多く、テレビで流れる悲惨な映像を見て、誰かの役に立つことがしたいと思った人が多かったのではないか。そういう思いを(サイトによって)結集できた」

 ――デマが流れるなど、混乱もあった。

 「有名人がデマをリツイート(引用)してトラブルになったケースもあった。だが、デマが否定され事態が収束するまでの時間は比較的短かったように思う。誤った情報に気づいた人が『それはデマだ』と知らせるなど、自浄作用が働いている」

 「情報を確認して整理することは、被災地以外のネットワーク環境が整備された地域に住む人の役割だと思う。なかには善意でリツイートして混乱を招くケースもある。例えば、『ガソリンを売っていた』との投稿。何度もリツイートされるうちに、いつの情報なのかわからなくなる。ガソリンが売り切れた後も店に人々が押し寄せ、混乱を招いてしまうこともあったようだ。発信された情報がいつ時点のものなのか時系列で追いづらいことは、ツイッターが持つ構造的な欠点だ」

 ――今回の震災で見えてきた課題は。

 「大きく2つある。まず言語の問題だ。情報発信が日本語に限られるため、2月に発生したニュージーランド地震と比べると、海外からの支援が受けづらい。寄付はしたいが、どこで受け付けているのかといった(外国人からの)問い合わせも多かった」

 「もうひとつは被災地のニーズを吸い上げる仕組みの確立だ。我々はこれは役立つだろうという推測でサイトの機能を作っている面がある。直接、被災者から要望を聞きたいが現実的ではない。現地入りしているNPOとの連携が必要だと感じた。被災地にもシステムエンジニアはたくさんいる。仙台駅にシステム関連のボランティアが働ける場所も確保した。地元で必要な機能は地元のエンジニアが構築する『地産地消』を早く可能にしたい」

(聞き手は西雄大)

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