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社会ニーズ先取り、中小企業に橋渡し 産学連携、新段階に

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2013/3/19 7:00
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 デザイン系大学が新製品開発で活躍している。中小企業と組んで学生が製品のコンセプトやデザインを提案、日々の仕事で手が回らない中小の企画・開発機能を補う。ただ、原価計算をしていなかったり、1年限りの協力だったりで発売までたどり着かないケースも多い。その中で法政大学デザイン工学部の大島礼治研究室は、社会のニーズを足で聞き取り、必要な技術を探索、製品化できそうな企業を見つけ、販売までこぎ着け、多くの実績を残している。

法政大学の大島礼治教授

法政大学の大島礼治教授

 「あの時はたいへんだった。ヘルメットは重いし、トイレはないし……」

 きっかけは1年前、大島教授が入った飲食店で聞こえてきた若い女性3人の会話だった。

 東日本大震災当日、交通がまひし、帰宅困難者があふれた首都圏。家までの道を歩く人は会社からヘルメットを渡された人も多かった。しかし「重いしかさばる。会社のものだから捨てられない」との声。すぐに研究室の女子学生3人が街で聞き取り調査に走った。研究室のOGが帰宅困難を体験した会社の同僚や友人を紹介した。

 帰宅困難経験女性へのインタビュー集「100人の真実」はフリーの記述。大島教授は「よくある回答を選ぶ方式のアンケートは傾向はわかるが実態、真のニーズが分からない」という。「生理用品が足りなくなったら心配」「ハイヒールで長時間歩くと靴ずれする」――ヘルメット以外のニーズも次々上がってきた。

法政大の大島研究室などが開発した防災ヘルメットとポンチョ、手前は一緒に納める生理用品などのグッズ
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法政大の大島研究室などが開発した防災ヘルメットとポンチョ、手前は一緒に納める生理用品などのグッズ

 大島教授は商品の実現に向け企業集めに動いた。東芝の家電のデザイン部門から、母校の多摩美術大などに転じた大島氏は2004年に法政大に移った。多摩美時代から新製品を開発した蓄積で200社以上の企業のネットワークがあり、毎年増えている。

 今回はかつて共同開発したことのある産業用ヘルメットメーカーの谷沢製作所(東京・中央)と、販売を担当する大日本商事(東京・千代田)を中心に10社と提携、「常に身近に備え、最低限自分の身を守る新しい防災セット」をコンセプトに産学連携が昨年3月にスタートした。

 まず、ヘルメットを小さくするため折り畳めるようにする。女性のかばんはけっこう大きいので薄くさえすれば、持ち歩きやすいからだ。

 強度を保つために頭の前方から後方にいくにつれて幅が広くなる扇形の板を、使うときだけ曲げて型に入れヘルメットとして使う。樹脂成型で作った試作品は100を超えた。かばんに入るかどうか様々な女性のかばんのサイズを測った。

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