ものづくり進化論(日経産業新聞)

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

広がる最先端コメ作り、GPSや直播き……農機各社が提案

(1/2ページ)
2013/8/13 7:00
共有
保存
印刷
その他

 「日本のコメは高い」という常識を覆そう――。農業機械メーカー各社が農家を口説いている。国民1人当たりのコメ消費量は50年前に比べてほぼ半減。国産米の相対取引価格は1キログラム当たり260円前後と、米国と比べ約4倍も高い。環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に日本も参加し、高い関税率で海外のコメを制限するのも難しくなりそうだ。種もみを金属で覆って田んぼに直接まいたり、全地球測位システム(GPS)で農機を管理したり。農機各社の新しい米作りの提案に期待が集まっている。

 兵庫県猪名川町。猛暑のなか、青々とした稲が育っていた。農家の男性(58)に聞くと「細い道を挟んで2つのタイプに分かれる」という。栽培している品種は同じ。違いが分からず困っていると、笑って教えてくれた。「こっちは苗から育てた稲。あっちは『じかまき』だよ」

 日本の稲作農家の多くは、ビニールハウスなどで種もみを苗に育ててから水田に植えている。狭い水田でも安定的に収穫するために生み出された手法だが、苗を育てるためのコスト負担は重く、コメ価格の高止まりの原因になっている。

 農家の男性が口にした「じかまき」は種もみを直接まくことで、漢字では「直播き」と表記する。苗を育てる必要がなく、コストも少なくて済むが、日本の農家は敬遠してきた。土にきちんと埋まらないと、発芽しないリスクが高まり、カラスなどにも荒らされる――。その結果、収穫量が安定しないのだ。これを解決しようと呼びかけているのが、国内農機最大手のクボタだ。

 種もみを厚み1ミリメートル以下の金属膜で覆い、その重さで地中にしっかりと埋まる仕組み。独立行政法人である農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の山内稔氏が開発した手法で、金属膜は発芽を妨げない厚みに調整する。農家の男性はクボタの提案を受け入れ、新しい米作りに挑戦中だった。「じかまきは格段に作業が楽。収穫量も変わらないし、現在0.3ヘクタール(3000平方メートル)のじかまきの耕作面積を来年はもっと増やすつもり」と笑う。クボタは9月にも、全自動で種もみに金属膜をつくる機械を売り出す。

全地球測位システム(GPS)を搭載したヤンマーのコンバイン
画像の拡大

全地球測位システム(GPS)を搭載したヤンマーのコンバイン

 クボタと競合するヤンマーも負けてはいない。GPSを搭載したトラクターやコンバインを製造。農機の稼働状況などを掌握して、米作りのムダを洗い出している。

 農作業へのGPS活用は、測量機器を手掛けるトプコンやニコン・トリンブル(東京・大田)が先行している。専用の小型装置をつくり、3~30センチメートルの誤差で農機の走行ルートを確認。肥料の投入データなどと組み合わせ、農作業が効率的かどうかを判断している。現在、北海道を中心に3000台ほど導入されている。価格は1台当たり50万円と高額だ。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 次へ
共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

【PR】

ものづくり進化論(日経産業新聞) 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

セダンは寄居完成車工場(埼玉県寄居町)で生産する

個性磨いた新シビックでグローバル車開発改革 ホンダ [有料会員限定]

 ホンダは9月、世界販売の主力車種「シビック」を日本で発売する。国内では販売が低迷し2011年にラインアップから外したが、6年ぶりに復活する。今回投入する10代目はデザインなどで主要市場の米国の嗜好を…続き (8/14)

同じ形の機械はマーカーを付けて区別。タブレットで認識させると点検記録や動画の操作マニュアルなどが呼び出せる(愛知県東浦町)

カリモク家具がAR活用して設備保守 若手も独り立ち [有料会員限定]

 家具メーカーのカリモク家具(愛知県東浦町)は工場の製造設備の保守作業に拡張現実(AR)技術を活用したシステムを導入した。タブレットを機械にかざし、表示されたボタンを押すと稼働状況や操作マニュアルをす…続き (8/7)

鈴鹿サーキットでの自動車レース「S耐」に参加した日産・自動車大学校の学生ら(6月、三重県鈴鹿市)

整備士の卵にプロ意識 日産、耐久レースで育成 [有料会員限定]

 若者のクルマ離れが、自動車メーカーの国内事業に影を落とすようになっている。とりわけ車検や生産現場などを担う自動車整備士を志す若者の減少は歯止めがかからない。販売網の維持に苦戦する地域があるばかりでな…続き (7/31)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

TechIn ピックアップ

08月18日(金)

  • アップルは、ぼくらの手元から「AR革命」を起こすかもしれない―「ARKit」の知られざる可能性に迫る
  • スマートロックが解錠不能に、顧客500人に影響―アップデートの不具合が原因
  • 6本脚で這い回るクモ型ロボット「HEXA」を中国企業が開発

日経産業新聞 ピックアップ2017年8月18日付

2017年8月18日付

・リオ・ティント、リチウム生産へ前進
・集中力測る眼鏡型端末、ジンズがeスポーツで需要開拓
・東芝ライフ、美的傘下に入り1年 2017年通期黒字化に自信
・物流倉庫利用しやすく、VBが新サービス 小規模・短期間でも仲介
・内装材、美をリアルに アイカ工業…続き

[PR]

関連媒体サイト