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「今後40年間は有望」説も 持続可能な日本の“もうかる”林業

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2011/7/4 7:00
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 日本で林業が「もうからない産業」の代表格のように言われて久しい。1950~60年代は戦後復興と高度経済成長を支える花形産業だったが、60年代後半になると状況が一変。安い外材の輸入に押され、人件費の高騰とともに、きつい作業を嫌う若者の増加で就業人口が減り、もうからない衰退産業になった。こうしたストーリーが「常識」として定着していた感がある。

 だが、近年、こうした常識を覆すような研究や事例が相次いで浮上し、林業関係者や森林を守る非営利組織(NPO)などで議論の的となっている。その内容を精査すると、日本の林業は今「もうかる林業」へ生まれ変わる転換点にあるのかもしれない、と思わせるものが多い。そんな議論の最先端を垣間見たのが6月9日、「我が国の森林・林業再生をいかに進めるか」をテーマに東京で開かれた「震災復興支援フォーラム」だった。

 「現在の日本には60億立方メートルもの森林蓄積がある。世界最大の林業国、ドイツの2倍もの規模で、我々は宝の山の上にいるようなものだ」。基調講演をした内閣官房国家戦略室の梶山恵司・内閣審議官は、日本の山林の有望性をこう説明した。「日本林業はよみがえる」という著作もある梶山氏は、4月に公布された改正森林法で推進する「森林・林業再生プラン」の策定などに携わった森林・林業問題のスペシャリストだ。

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 森林蓄積とは、木材用として使える立木がどれだけ山林に残存しているかを示す。日本は森林蓄積が20億立方メートルしかなかった高度経済成長期の60年代前半に、毎年6000万立方メートルを伐採し続けたことで「木材資源を、ほぼ刈り尽くしてしまった」(梶山氏)。当時の木材需要は年1億立方メートルもあったとされ、この不足分を補うため外材の輸入が自由化された。

 伐採後の森に針葉樹の植林を続けてきた日本だが、材木用途で伐採に堪えるようになるまで、長きにわたり利益の出ない「蓄積の時代」をさまよってきた。その間、戦後すぐには全国で45万人いた林業の担い手は、現在5万人を切るまでに激減。うち65歳以上の就業者が3割近くと高齢化も進んだ。

 だが、梶山氏は、安い外材や人件費高騰といった林業疲弊の原因とされる要因も、「従来の常識を冷静な目で見直せばチャンスがあると分かるはず」と強調する。

 例えば、日本の木材は外国産に比べ「コスト競争力がない」という指摘。国産材で最も一般的なスギ丸太材の1立方メートルあたりの価格は90年以降、流通量の多い米国産ツガ丸太材に比べて安く推移している。現状ではスギ丸太の価格はツガの半値近くの水準で低迷しており、コスト競争力がないとは言い難い。

 高い人件費についても同様だ。前述の梶山氏の著作によれば、欧州の主要林業国、オーストリアでは伐採などに使う林業機械の作業員に支払われる人件費は1時間あたり29ユーロ(約3400円)。1日では3万円超にもなり、日本に比べて2倍近いという。それでいてオーストリアの林業家はきちんと利益を確保しながら森を健全に維持している。

 日本でも、小規模な林業家が利益を出しながら山林を管理し健全に保っていく方式を編み出したグループがある。高知県中部を流れる仁淀川。四万十川に匹敵するきれいな流れにアユが豊かなこの川の流域で、「兼業型自伐林家」の有効性を証明したのが特定非営利活動法人(NPO法人)、土佐の森・救援隊だ。

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