パナソニック7650億円赤字 13年3月期、63年ぶり無配

2012/11/1 1:33
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 パナソニックは31日、2013年3月期の連結最終損益(米国会計基準)の見通しを500億円の黒字から7650億円の赤字に引き下げると発表した。携帯電話や電池などの事業縮小に伴う損失が膨らむ。7721億円の赤字だった前期に続く大幅赤字で、年間配当も1950年5月期以来63年ぶりにゼロ(前期は10円)とする。事業規模の追求から採算重視路線に転換、収益立て直しを急ぐ。(関連記事3面に)

 製造業の通期の最終赤字額としては、09年3月期の日立製作所(7873億円)や、前期のパナソニックに続く規模。記者会見した津賀一宏社長は「価格が下落した世界で売上高を追求すると収益をより悪化させる」との認識を示した上で「収益優先に転換し、価値観を変えたい」と話した。

 収益立て直しへ13年4月に白物家電や自動車・産業用機器など4カンパニーに組織を再編する。採算重視の姿勢を一段と強めて事業分野を絞り込み、15年度に全事業部門で営業利益率を5%以上に引き上げる方針だ。

 不振だったスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)などの携帯電話事業で、今春に再参入した欧州から12年度内に撤退することも正式表明。苦戦する民生用リチウムイオン電池や太陽電池でも拠点を再編する。業績悪化の責任を取り、役員報酬を一部返上する。

 今期の本業のもうけを示す営業利益は1400億円の黒字を確保する。一方、携帯電話やリチウムイオン電池、太陽電池の事業縮小で、買収先の純資産と買収額の差額である「のれん」と呼ぶ資産の減損など構造改革費を4400億円計上。業績の不透明感が強まったことから将来の税負担軽減を見込んで計上していた繰り延べ税金資産も4125億円取り崩す。これらが計8000億円を超す減益要因となる。

 背景にあるのは、M&A(合併・買収)戦略の狂いだ。電池事業をテコにした成長戦略を描き、8000億円を投じて三洋電機を買収したが、事業環境が大きく変わり、結果的に前期と合わせて総額5000億円の減損損失の計上を迫られた。

 携帯電話事業ではスマホの展開で遅れ、かつてシェア首位を誇った国内市場でも米アップルのスマホなどに大きく水をあけられている。今年再参入した欧州市場でも販売は振るわなかった。パソコンや携帯電話に組み込む民生用リチウムイオン電池事業は価格と需要の両面で厳しさを増す。

 今期の売上高は前期比7%減の7兆3000億円と従来予想を8000億円下回る。国内では昨年の地上デジタル放送移行時の需要増の反動で、テレビやブルーレイ・ディスク(BD)録画機の販売が急減。成長のけん引役だった中国市場でも日中関係の悪化が響き、白物家電が伸び悩む。

 同日発表した12年4~9月期連結決算は、売上高が前年同期比9%減の3兆6381億円、最終損益が6851億円の赤字(前年同期は1361億円の赤字)だった。リストラ効果で営業利益は873億円と84%増え、携帯電話を除く全事業部門で営業黒字だった。

 証券取引所を経由せず株式を売買する私設取引システムの市場では31日夜、パナソニックの株価が400円台前半と、日中の東京市場の終値(514円)から1割強下げる場面があった。

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