特集:リアル開発会議

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

異業種連携で「スマートグラス集積地」へ、鯖江市

(1/2ページ)
2016/3/10 6:30
共有
保存
印刷
その他

リアル開発会議

 「堅い」「遅い」「補助金頼み」。一般にこうした有り難くないイメージが定着している自治体のなかで、福井県鯖江(さばえ)市は異色の存在だ。最近では公共データのオープン化を推進する「データシティ鯖江」をはじめ、女子高校生視点によるまちづくりプロジェクト「鯖江市役所JK課」を立ち上げて話題を呼んでいる。さらに同市は、「スマートグラス産業の集積地」という目標を掲げ、動きを活発化させている。

 「鯖江って知ってる?」。そう聞かれたら、きっと「メガネを作っているところでしょ」と答える人は少なくないはずだ。実際、鯖江市はメガネフレームの国内製造シェアで95%以上を占める一大生産地なのである。その歴史は非常に古く、1905年に農閑期の手工業として広まり、2015年で産地生誕百十周年を迎えたという。

 鯖江市はかつての「越前」の中央部に位置し、人口は2015年9月時点で約6万9000人である。メガネのほかにも約1500年の歴史があるとされる越前漆器の産地で、高度成長期に業務用漆器にシフトして以来、同分野では約8割の生産シェアを誇っている。

 メガネ関連の製造業の従事者は、就業人口の約7人に1人に当たる約4500人。市内にはメガネの製造事業所が約500社あり、その半数以上が4人以下の事業所だ。

■高品質メガネフレームで地位を維持

スマートグラスをかけて、「CEATEC」のイベントで講演する鯖江市長(写真:新関雅士)
画像の拡大

スマートグラスをかけて、「CEATEC」のイベントで講演する鯖江市長(写真:新関雅士)

 近年は海外企業とのコスト競争に巻き込まれ、ここ20年間で市内出荷額は約半減し、従事者数は約4割も減っている。それでも海外メーカーと差異化を図るべく、世界初となるチタン製メガネフレームの量産化に成功するなど、高品質フレームの産地としての地位を維持しているのが現状である。

 伝統的なメガネ産業が成熟する中、鯖江市はメガネフレームの製造で培ったチタンの微細精密加工技術などを生かして、メガネ型情報端末「スマートグラス」や医療機器の分野への進出を積極的にサポートしたいと考えている。実際、2015年度には「めがねのまち鯖江」元気再生事業として、「ウェアラブル端末・スマートグラス」の拠点化を目指した産地体制の強化に取り組んでいる。

 そもそも鯖江市は柔軟性というか、足腰の軽さで有名である。オープンデータを活用した「データシティ鯖江」を掲げたり、女子高校生視点によるまちづくりプロジェクト「鯖江市役所JK課」や、おばちゃんたちのまちづくりプロジェクト「鯖江市OG課」を設置したりするなど地域を活性化するための興味深い取り組みに行政が積極的だ。その中心にいるのが、鯖江市長の牧野百男氏である。

■エレクトロニクスショーに市長の姿あり

 2015年10月7日、牧野市長の姿が日本最大のエレクトロニクスショー「CEATEC JAPAN2015」の会場にあった。市長がなぜ展示会にいるのか。答えは村田製作所と鯖江市が共同プロジェクトでスマートグラス「Cool Design Smart Glass」を試作したからだ。

スマートグラス「Cool Design Smart Glass」
画像の拡大

スマートグラス「Cool Design Smart Glass」

 電子部品メーカーと自治体という取り合わせが生まれたキッカケは、2014年の同展示会で、村田製作所が開発中の小型スイッチを簡易的に取り付けたメガネをデモンストレーションしたこと。鯖江市には村田製作所の生産拠点があるという縁もあり、その後、連携が本格化したという。

 プロジェクトには、村田製作所と鯖江市に加えて、IT(情報技術)大手のSAP ジャパンや、ウェブデザインを手掛けるサイトフォーディーが参画した。さらに、鯖江市が実施した公募によって、メガネ設計・製造のシャルマン、メガネのデザインを手掛けるボストンクラブが加わり、まさに異業種連携でスマートグラスを作り上げたのである。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 次へ
共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

日経BPの関連記事

【PR】

特集:リアル開発会議 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

スマートグラス「Cool Design Smart Glass」

異業種連携で「スマートグラス集積地」へ、鯖江市

 「堅い」「遅い」「補助金頼み」。一般にこうした有り難くないイメージが定着している自治体のなかで、福井県鯖江(さばえ)市は異色の存在だ。最近では公共データのオープン化を推進する「データシティ鯖江」をは…続き (2016/3/10)

出産後の赤ちゃんが並ぶ新生児室=2010年5月、東京都練馬区日大練馬光が丘病院。

コスト100分の1の保育器 新興国の未熟児問題解決へ

先進国で当たり前に存在する物やサービスが、発展途上国ではコストの壁によってなかなか普及しない。業界を問わず、よく聞く話である。体温調節機能や呼吸機能が不十分な新生児を守るための…続き (2015/7/28)

世界企業が続々 日本に押し寄せる「スポーツ×IT」

 今、世界の先進企業の間でスポーツビジネスへの関心が高まっている。特にIT(情報技術)をはじめとする技術系企業がスポーツ分野に注ぐ視線は熱い。背景にはスポーツビジネスの特異性があると、関連の動向に詳し…続き (2015/7/21)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

日経産業新聞 ピックアップ2017年6月27日付

2017年6月27日付

・金融取引の説明不足を判定、フロンテオ AIを活用、通話記録を分析
・クラリオン、ロシアでつながる車開拓 通信ユニット、現地で生産
・コマツ 土砂運搬てきぱき ダンプ運転手のスマホに指示
・三菱製紙、カーボンナノチューブ収益減に育成 子会社でヒーター2種開発
・アマダHD、仏拠点の生産能力3倍 レーザー加工機…続き

日経産業新聞 購読のお申し込み
日経産業新聞 mobile

[PR]

関連媒体サイト