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スピードは世界屈指 車いすバスケ・豊島英(上)

2015/10/5付
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 健常者のバスケットボールと同様、障害者がプレーする車いすバスケの世界でもやはり、“背”は口ほどにものを言う。車いすに座るというみな平等のハンディが与えられ、胴長短足の日本人は有利にも思えるが、そもそも圧倒的な身長がある欧米選手にはかなわず、彼らは手も長い。

長さ180センチのリーチで車輪を回し、相手エースを止める

長さ180センチのリーチで車輪を回し、相手エースを止める

リオへの出場権かけ千葉で大一番

 体格で不利な日本が世界と対抗するには、スピードが一つの武器になる。10日に千葉ポートアリーナ(千葉市)で始まる車いすバスケのアジア・オセアニア選手権。リオデジャネイロ・パラリンピック出場権がかかる大一番に臨む男子日本代表ヘッドコーチ(HC)の及川晋平が、そのスピードにほれ込み「日本代表の要」と信頼を置くのが、車いすバスケチーム、宮城MAX所属の豊島英だ。

 生まれつき足が動かないとか、事故で足を切断したとか、車いすバスケ選手の障害は様々。中でも腹筋、背筋といった体幹が利くかどうか、足に筋力があるかどうかは、可能なプレーを決める重要な要素で、そうした障害の度合いによって1.0(重い)から4.5(軽い)まで、0.5刻みで選手ごとに持ち点が決められる。2点台以下はロー・ポインター、3点台以上はハイ・ポインターと呼ぶ。

 そして1チーム5人の持ち点の合計は14点以内に収めないといけない。つまり、障害の軽い選手ばかりで編成ができないルールで、これが健常者のバスケとは違う試合の妙味を生む。

「相手エースを止める自信はある」

 豊島の持ち点はローの2.0。生後4カ月で患った髄膜炎の後遺症で、ずっと車いす生活だ。「熱いとか触られたとかの感覚はあるが、足はほとんど動かせない」。体幹も万全ではなく、ある程度体を傾けると前のめりに倒れてしまう。

 だが、MAXのHCで日本代表前HCでもある岩佐義明は「スピードはロー・ポインターとして世界トップクラス」と断言する。身長163センチながら、両腕を広げた長さは180センチ。そのリーチで車輪を回すので力を伝える時間が長く、体重も軽いためスピードが出る。日本代表ではその速さを生かし、「バックピック」という戦術を担う。

 日本が守備から攻撃へ転ずる時、相手選手がすぐ守備に戻れないように車いすで通せんぼをする。うなぎのようにぬるりと脇道を行くことができない車いすバスケ特有の戦術で、味方1人や2人で相手1人をかごの鳥の状態にしてから相手陣内へ急いで攻めこめば、5対4という数的優位を作って攻撃できる。

 豊島は守備時から「止めやすいローの選手、止めるのは大変だけど止めたら日本に有利なハイの選手の、狙いやすい方に常に自分が行くことを考えている」。そして日本にボールが渡った刹那、襲いかかる。

 「スピードは自分が上とわかったら、一人でも相手のハイのエースを止める自信はあります」と豊島。ゴールの派手さはないが、その陰の働きがリオへの道を切り開く。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊10月5日掲載〕

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