守・破・離への道(岡田武史)

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現状維持は退歩 チームも選手も変化してこそ

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2015/8/4 6:30
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 FC今治で仕事を始めてから、うちのクラブの育成部門に入りたいという応募は県外からもあったりする。「どうしてですか?」と尋ねたら「サッカー選手だけでなく、人間としても、きちんと育ててくれそうだから」と親御さんから返ってきたりする。もし、それが本当ならうれしいことだし、そういうイメージはクラブの特色として大事にしたいとも思う。「サッカーだけを教えるクラブじゃないぞ」と。ただし、小学生に関して県外からの応募は基本的にお断りしている。やっぱり、育成年代では、子供は親御さんと一緒に暮らすことが大事だと思うからだ。

いろいろな人のアイデアや考えを採り入れながら、FC今治で最上のものをこしらえていきたいという岡田氏

いろいろな人のアイデアや考えを採り入れながら、FC今治で最上のものをこしらえていきたいという岡田氏

「進化は変化の中にある」

 もう一つ、FC今治に関心を寄せてくれる大きな理由に「岡田メソッド」の存在がある。何か新しいことに岡田はチャレンジするらしい、それは今までの方法論とは少し違うらしい――そんな噂を耳にして、その新しいメソッドで自分も鍛えられたいということなのだろう。

 今治で試行錯誤しながらメソッドを製作するのは「変化」を求めてのことだ。スポーツの現場にいると「進化」という言葉をよく聞く。企業にとってもイノベーションは非常に重要なキーワードで、選手もメディアも「進化」を強調する。やることなすこと、すべてが進化に直結するのがベストなのだろうが、世の中、そうそうおいしい話は転がっていない。万端の準備を整えてやったことが無駄になることだってある。商品開発の現場などでは、むしろ失敗に終わることの方が日常茶飯事かもしれない。

 私は「進化は変化の中にある」と思っている。進化だけを狙い打ちしても、そうそう当たるものではない。変化を求めて「あれも」「これも」とやっているうちに進化の芽がやっとのことで見つかるような気がしている。

 怖いと思うのは進化しないことを恐れて新しいことにチャレンジせず、結果的に現状維持を選択することだ。スポーツの世界で現状維持は退歩を意味するから、とどまっていること自体が確実にダメな方向にチームや選手を追いやってしまう。また指導者としても立ち止まったら終わりである。新しいシーズンの最初のミーティングで、選手たちをグッと引き付ける新しいものが自分にあるか、今でも不安になる。

らせん階段のようなケースも

 ある企業が「縦割りの組織ではダメだからフラットな組織にした」と思ったら、しばらくして事業部制が復活したりする例がある。部外者から見たら「なんだ、結局、一巡して同じところに戻ってきただけじゃないか」と思うかもしれないが、私にはそういう変化を求める姿勢にも意味があると思っている。最初からずっとその場にいたのと、一巡して戻ってきたのとでは意味が違うと思っている。上から見たら元に戻っているかもしれないが、横から見たら一段上に行っている、らせん階段のようなことが起こっていることもある。

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