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モノは何でできている? 謎の解明へ日本も一役

2015/6/27 12:00
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  万物を構成する原子の中心には原子核があり、原子核の中には陽子と中性子という「核子」がある。クォークで構成されていると考えられる核子は、まだまだ謎だらけの世界だ。核子の内部はどのようになっているのか、日本も加わる国際共同実験で探査が進んでいる。

■秘められた「クォークの海」

CERNで始まったコンパス2実験の施設(提供:日経サイエンス)
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CERNで始まったコンパス2実験の施設(提供:日経サイエンス)

 核子の半径は1000兆分の1メートル程度と超微小だ。ただ、核子を構成する素粒子クォークは無限小の点と考えられているので、クォークの立場から見れば核子の内部も宇宙のような広大な世界になる。

 これまでの研究によると核子内部には膨大な数のクォークのほかに、同じく膨大な数の反クォークも存在し、総数でいえば、クォークの方がごくわずか、具体的には3個だけ多いことがわかっている。ここで反クォークとは、物質とは正反対の特性を持つ「反物質」を構成する素粒子だ。つまり核子内部はクォークや反クォークで満ちあふれた海のようになっている。

 この「クォークの海」にはいくつもの謎がある。1つは成分組成の謎だ。クォークと反クォークにはいくつもの種類があるが、反クォークについて種類別の割合を実験で調べると、理論予想とは大きくずれていることがわかってきた。本当にそんなずれが存在するのか、より詳しい実験による検証が進んでいる。米シカゴ近郊にある米国立フェルミ加速器研究所での「シークエスト実験」で、日本からは東京工業大学のほか山形大学、理化学研究所、高エネルギー加速器研究機構(KEK)が加わっている。

■コマのように自転

 もう1つは「スピン」に関する謎だ。クォークや反クォークを微小な球に見立てると、その球はコマのように自転している。一方、核子も球に見立てることができて、これも一種の自転をしている。こうした自転によって生じる物理量をスピンという。核子はクォークと反クォークが集まってできているのだから、それらが持つスピンを合算すれば核子のスピンになると、当初は考えられていた。ところが実際に調べてみると、クォークと反クォークのスピンを合算しても、核子が持つスピンの3割ほどしか説明できないことがわかってきた。

 では残る7割は何に由来するのか。それを探ろうという実験が、今年5月からスイス・ジュネーブ近郊にある欧州合同原子核研究機関(CERN)で始まった。「コンパス2実験」と呼ばれるもので、日本からは山形大学のほかKEKと宮崎大学、中部大学が参加している。これら2つの国際共同実験によって、核子に封じ込められたクォークの海の謎を解く新たな手がかりが得られそうだ。

(詳細は25日発売の日経サイエンス8月号に掲載)


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