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日本経済新聞 5月30日付朝刊に「京都特集 支社開設30年」を掲載しています。

全国の小京都、加盟基準は3つ

2015/5/30 3:30
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 小京都と名乗り、自治体の連携組織「全国京都会議」に加盟している市町は京都市を除き全国に45ある。各自治体は懐かしい日本の原風景を守り、その土地の伝統文化を今に伝えている。

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全国の小京都の市町と特色
「小京都」の市町特色
秋田県仙北市(旧・角館町)佐竹北家の城下町。武家屋敷や町家。文化財多く
秋田県湯沢市佐竹南家の城下町。秋田美人の里。酒造業も盛ん
宮城県大崎市(旧・岩出山町)京都公家の冷泉家ゆかりの回遊式庭園や学問所
宮城県村田町山形と仙台を結ぶ商都。豪勢な店蔵や門が残る
新潟県加茂市平安時代、京の賀茂神社の社領に。桐タンス産地
栃木県栃木市舟運の商都。蔵屋敷と白壁。コイの掘割も名所
栃木県佐野市出流原弁天地の湧き水の名水がある宿場町
栃木県足利市日本最古の学校「足利学校」や日本一の藤棚
茨城県古河市室町時代、足利成氏による関東の政治の中心地
埼玉県嵐山町京都・嵐山に似た渓谷と山。坂東武者ゆかりの地
埼玉県小川町和紙、酒造、建具、裏絹など伝統産業の史跡
神奈川県湯河原町万葉集にうたわれ、文人墨客が保養に訪れた名湯
静岡県森町江戸時代中期頃から古着の町として栄えた城下町
愛知県西尾市城下町の大名行列の祭。抹茶原料のてん茶を生産
岐阜県郡上市(旧・八幡町)城下町で400年歌い踊り継がれた「郡上おどり」
三重県伊賀市(旧・伊賀町と上野市)藤堂高虎が江戸時代に碁盤目状に整備した城下町
長野県飯山市上杉謙信の飯山城。島崎藤村「破戒」モデルの寺
富山県高岡市加賀前田家2代当主の城下町。古い町並みが残る
富山県南砺市(旧・城端町)蓮如上人の古刹の寺内町。石畳の景観や曳山祭
福井県大野市戦国武将、金森長近による碁盤の目状の城下町
福井県小浜市大陸と京都を結んだ交通の要衝。寺社・仏像多数
京都府亀岡市明智光秀の丹波亀山城の城跡。保津川の渓谷美
兵庫県豊岡市(旧・出石町)出石城跡や町家。船着き場のなごりの灯籠や櫓
兵庫県篠山市京都に向かう西京街道沿いの宿場町と城下町
兵庫県たつの市(旧・龍野市)武家屋敷や白壁の土蔵。揖保川の素麺の伝統産業
岡山県津山市石垣の津山城跡と武家屋敷。神社仏閣も多く
岡山県高梁市備中松山城と武家屋敷。商家資料館など遺産点在
広島県尾道市江戸期は北前船の寄港地。多くの豪商が寺院建立
鳥取県倉吉市城下町の白壁土蔵群や赤瓦。白金の湯、関金温泉
島根県松江市古代出雲文化と神話の発祥の地。松江城の掘割
島根県津和野町赤い鳥居が並ぶ太皷谷稲成神社。堀のコイも有名
山口県萩市毛利氏が1604年に萩城を開き、36万石の城下町に
山口県山口市瑠璃光寺五重塔が「西の京」を象徴。大内家遺構
高知県安芸市武家屋敷の景観。三菱創始者の岩崎弥太郎の生家
高知県四万十市(旧・中村市)応仁の乱で公家が移り住み、京に模した町を造る
愛媛県大洲市加藤家6万石の城下町。2004年に木造の天守復元
福岡県朝倉市秋月城跡。黒田官兵衛の孫、長興が治めた城下町
佐賀県小城市京都を模した町づくり。街中の祇園川を蛍が舞う
佐賀県伊万里市伊万里焼など肥前磁器の積み出し港として繁栄
大分県杵築市高台に武士が住み、谷間で商人が暮らした町並み
大分県日田市江戸時代、幕府の天領として栄える。豪商の遺構
熊本県山鹿市明治時代の芝居小屋「八千代座」は国の重文
熊本県人吉市鎌倉時代からの神社仏閣、仏像が数多く残る
宮崎県日南市石垣が続く武家屋敷の飫肥(おび)地区が有名
鹿児島県南九州市(旧・知覧町)7つの名勝庭園や整然とした武家屋敷群が残る

 

■埼玉に嵐山、新潟に加茂

 全国京都会議への加盟基準は、(1)京都に似た自然景観、町並み、たたずまいがある(2)京都と歴史的なつながりがある(3)伝統的な産業、芸能がある――の3点。京都市は約1万件のファン登録がある市観光協会のフェイスブック公式ページで、加盟市町の観光情報を発信している。

京都・嵐山の景観に似た埼玉県嵐山町の渓谷
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京都・嵐山の景観に似た埼玉県嵐山町の渓谷

秋田県仙北市角館町のシダレザクラの武家屋敷通り
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秋田県仙北市角館町のシダレザクラの武家屋敷通り


庭園も美しい山口県山口市の瑠璃光寺五重塔
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庭園も美しい山口県山口市の瑠璃光寺五重塔


 

 (1)の京都に似た自然景観や町並みの代表例は埼玉県嵐山町。昭和の初め、この地を訪れた林学博士が渓谷を見て「京都の嵐山に似ている」と言ったことが広まり、その後、町制の施行時に嵐山を町名に採用した。秋田県仙北市の角館(かくのだて)町や山口県山口市は三方が山に囲まれた盆地が京都の地形に似ているとして、大名が京都に模した町づくりをした。碁盤目状の区画を造った町は福井県大野市や三重県伊賀市の伊賀上野などがある。

京都の神社の祭神が分霊された新潟県加茂市の青海神社
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京都の神社の祭神が分霊された新潟県加茂市の青海神社

京文化のなごりがある宮城県大崎市岩出山の学問所「旧有備館」
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京文化のなごりがある宮城県大崎市岩出山の学問所「旧有備館」


 

高知県四万十市中村地区で開かれる一條大祭の稚児行列
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高知県四万十市中村地区で開かれる一條大祭の稚児行列

 

 (2)の京都と歴史的なつながりがある代表例は新潟県加茂市。平安時代に賀茂神社の社領となり、鎮守社の青海神社の鎮座地に上賀茂神社と下鴨神社の祭神が分霊されたことから、加茂と呼ばれるようになった。川は加茂川と名付けられた。宮城県大崎市の岩出山地区は江戸時代に岩出山伊達家の3代目と4代目に京都公家の冷泉家から御輿(みこし)入れがなされ、学問所「有備館」や回遊式池泉庭園などが造られて京文化が伝わった。高知県四万十市の中村地区は、室町時代の応仁の乱の戦火を避けるために前関白の一條氏が移り住み、京に模した町を造った。祇園、鴨川、東山などの地名がある。

 

富山県南砺市の城端地区の幻想的な夜の城端曳山祭
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富山県南砺市の城端地区の幻想的な夜の城端曳山祭

 

 (3)の伝統的な産業・芸能がある代表例は埼玉県小川町。町の中央を清流が流れ、1300年の歴史を誇る小川和紙をはじめ、酒造、建具、裏絹など伝統産業で古くから栄えた。富山県南砺市の城端(じょうはな)地区では絹織物の伝統産業がはぐくまれ、曳山祭は国の重要無形民俗文化財に指定された文化芸術の結晶だ。

■30周年でロゴマーク公募

小京都の「全国京都会議」を退会した市町
退会年度市町
2000広島県三次市、
徳島県那賀川町(現・阿南市)
2003北海道松前町
2004長野県松本市
2005岩手県水沢市(現・奥州市)
2006山形県酒田市
2008岐阜県高山市、石川県金沢市、愛知県犬山市
2010岩手県盛岡市、長野県飯田市
2011広島県竹原市
2012岩手県遠野市
2014山形県山形市、滋賀県大津市、青森県弘前市

 小京都の加盟は30年で徐々に増えてきたが、退会する自治体も少なくない。これまでに石川県金沢市など16市町が脱退した。小京都の名に頼らない独自の観光戦略を打ち立てた。財政難のなか年会費の支払い負担を嫌う自治体もある。だが福井県大野市や高知県安芸市のようにいったん退会したものの再加盟したケースもあり、京都市観光協会は「共同で宣伝事業をしたり物産展の開催を支援したりして、全国京都会議の活動を発展させたい」と意気込んでいる。

 全国京都会議の30周年記念事業として観光情報誌「旅の手帖」に特集記事を掲載するほか、イメージアップを図るためロゴマークをホームページなどで公募する。

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