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上方文化に再注目を 作家 玉岡かおる氏(58)(関西の羅針盤)
第10章 「これから」を語る(8)

2015/5/22付
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 ――現在も兵庫県にお住まいですね。

 「関西出身の作家の多くが東京に移りましたが、私はこちらにいます。でも長女は歯科医になるため東京の大学に入ってから戻ってきません。『取られた』感覚です。娘に『こっちで仕事できへんの?』と聞いたら『ニーズがない』と。審美歯科など最先端の医療は大阪では需要が少ないらしい。東京には『高くてもいいから価値のある治療を』という人が多いようです」

 「おしゃれ、買い物に仕事。若い子を底引き網でさらっていくような東京の引力はよく分かります」

■中途半端がダメ

 ――関西には引力がありませんか。

 「適当に居心地が良く、適当に都会というのは中途半端。それではさらに上(東京)を見たくなります」

玉岡かおる 作家
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玉岡かおる 作家

 「交通アクセスも問題です。新幹線の新大阪駅や新神戸駅は町外れにあり、関西国際空港も中心市街地から遠い。国際空港はもともと港で開けた神戸に造るべきでした。こうなったのは政治力の欠如が原因です。神戸の地位は低下し、関西全体にもマイナスでした」

 ――若い人はどうすれば戻ってきますか。

 「能力を生かせる場所をつくってあげることが大切。面白いことが大好き、目立つことが好きという関西の若者気質を何とか生かすことが必要です」

 ――関西には個性的な都市がいくつもあるのに、バラバラです。

 「大阪を中心にまとまるべきです。心を一つにして『欲しいものはこれ』と決めないといけません。大阪が中心の上方文化は忘れられがち。文楽の世界の大阪は川と橋の町なのに、今や残る水辺はわずかです。東京の日本橋では上を走る高速道路を地下化する話が出ていますが、景観の復元は大阪こそ先んじないと」

■「文化税」も一案

 ――昔の姿に戻すことも1つの選択肢ですか。

 「新幹線の引き直しも空港の造り直しもいまさら無理なら、利便性を追わずに文化と歴史をアピールするしかない。大阪や京都を魅力的だった時代の姿に復元するのもいいかもしれません」

 「バブル期にフランスの古城を買った人がいました。『復元』が契約条件で文化当局が方法を細かく指導したそうです。手放す際は政府が買い取る。うまいやり方です。関西も外資や東京資本のお金を文化財の保護に使えばいい」

 「関西は層になった文化の厚みが魅力なのに関西人がそれに無知なのが問題です。由緒ある神社仏閣が経営に行き詰まるのもおかしい。東京都にホテル税があるなら、関西に『文化税』があってもいいでしょう」

 <この地への思い>関西広報部を自任 「おしゃれなマダム」のイメージのまま、「関西広報部を勝手に自任している」という玉岡さん。主婦として子育てしながら執筆活動を続け、代表作「お家さん」など近代の関西の女性を巡る著作に定評がある。現在も古代の女帝をテーマに新作を執筆中だ。
 兵庫県三木市出身、加古川市在住だが、近年は大阪の都心に部屋を借り、仕事場としたこともあり、文楽など古典芸能も堪能した。「『心中天網島』で描かれる景観が復活したらすごいことになる」。確かにそんな大阪を見てみたい。(岡田直子)

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