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低い断熱性なぜ放置、世界に遅れる「窓」後進国ニッポン
松尾和也 松尾設計室代表

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2014/11/7 7:00
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ケンプラッツ

 日本の住宅の断熱性能が相対的に低いことをご存じだろうか。部位ごとにみれば窓の性能に大きな課題がある。窓の重要性について啓蒙活動を続ける松尾設計室の松尾和也代表は、「『窓』先進国の欧州に比べればもちろん、日本と気候が近い中国や韓国にも劣っている」と話す。松尾代表に、近年の傾向を踏まえて解説してもらう。

 日本は世界から見て、「ものづくり先進国」「超一流の工業国」というイメージがあると思います。しかしながら窓に限っては全く逆で、日本の工業製品の中でほぼ唯一といっていいほど、レベルの低い状態が続いてきました。

 まずは、その証拠として世界各国の窓の断熱性に対する最低基準と日本の窓の実態を比較してみましょう。

各国が求める窓の断熱性能を熱貫流率(表中のUw。単にUとする場合もある)で比較。小さいほど断熱性能が高い。ここに載せた値はどれも最低基準であり、これ以下の値にすることが求められている(資料:テクノフォルムバウテックジャパンの資料を一部加工)
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各国が求める窓の断熱性能を熱貫流率(表中のUw。単にUとする場合もある)で比較。小さいほど断熱性能が高い。ここに載せた値はどれも最低基準であり、これ以下の値にすることが求められている(資料:テクノフォルムバウテックジャパンの資料を一部加工)

 窓の断熱性能は、「熱貫流率」という指標で比較します。U値とも言い、単位はW/m2(平方メートル)・Kです。1m2当たり、かつ1時間当たりに通す熱量を表し、小さいほど熱の出入りが少なく高性能であることを意味します。多くの国では窓の重要性がよく認識されており、U値に関して最低基準を設けています。その値をまとめたのが上の表です。

 日本には非常に残念ながら、いまだに最低基準が存在しません。よくあるアルミニウム製の枠に一重(単板)のガラスを使った窓は、U値が6.5W/m2・Kと、とんでもなく低性能な値ですが、今もこうしたタイプの製品を販売することが許可されています。日本に5700万戸あるといわれる住宅の8割以上は、U値が6.5W/m2・Kというレベルでしかないといえます。

■1999年制定の基準が現役

 既存住宅は仕方がないとしても、新築住宅においても売れ筋の7割が4.65W/m2・Kという低いレベルにとどまっています。国内では窓の性能は星の数で表しており、その評価は下記のようになっています。

 冗談みたいな話ですが、次世代省エネ基準という1999年(平成11年)に定められた基準が、いまだ住宅業界では「あがり」としてあがめられる風潮があります。基準値は地域によって異なり、東京や大阪など大半の地域を含むエリア(旧・IV地域)については、あろうことか、窓性能の目安として4.65W/m2・K以下と書かれているのです。

経済産業省が定めた窓の等級。最高レベルでも熱貫流率は2.33W/m2・K以下と、諸外国に比べて求められる性能が低い。義務化もされていない(資料:ケンプラッツ)
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経済産業省が定めた窓の等級。最高レベルでも熱貫流率は2.33W/m2・K以下と、諸外国に比べて求められる性能が低い。義務化もされていない(資料:ケンプラッツ)

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