日経産業新聞 Editor’s Choice

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

15年間諦めなかった小野薬品 がん消滅、新免疫薬

(1/2ページ)
2014/10/24付
保存
印刷
その他

 日本人の死因のトップであるがん治療には、外科的手術や放射線治療、最後の手段として化学療法があるが、今この構図が大きく変わる可能性が出てきた。免疫を使ってがん細胞を攻撃する新たな免疫治療薬「抗PD―1抗体」が実用化されたからだ。世界に先駆けて実用化したのが関西の中堅製薬、小野薬品工業だ。画期的な免疫薬とは――。

■「オプジーボは革命的なクスリ」と高評価

小野薬品工業の研究所では希少疾患や難病などの治療につながる様々な化合物の研究が進む
画像の拡大

小野薬品工業の研究所では希少疾患や難病などの治療につながる様々な化合物の研究が進む

 「がん研究、治療を変える革命的なクスリだ」。慶応義塾大学先端医科学研究所所長の河上裕教授は9月から日本で発売が始まった小野薬の抗PD―1抗体「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)をそう評価する。

 ニボルマブは難治性がんの1つ悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬として小野薬と米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)が共同開発した新薬だ。がんは体内の免疫に攻撃されないように免疫機能を抑制する特殊な能力を持つ。ニボルマブはこの抑制能力を解除する仕組みで、覚醒した免疫細胞によってがん細胞を攻撃させる。

 世界的な革命技術として、米科学誌サイエンスの2013年の「ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー」のトップを飾った。今や米メルク、スイスのロシュなど世界の製薬大手がこぞってこの仕組みを使った免疫薬の開発を加速させている。

 悪性度が高いメラノーマは5年後の生存率は1割前後という極めて危険ながんだが、米国、日本での臨床試験(治験)では「増殖を抑えるだけでなく、がん細胞がほぼ消えてしまう患者も出た」(河上教授)。

 米国での他の抗がん剤と比較する治験では既存の抗がん剤を取りやめ、ニボルマブに切り替える勧告も出たほどだ。肺がんや胃がん、食道がんなど他のがん種に対する治験も進んでいる。

画像の拡大

 世界の製薬大手が画期的な新薬開発に行き詰まるなか、なぜ小野薬が生み出せたのか。

 1つは関西の1人の研究者の存在がある。「PD―1」という分子を京都大学の本庶佑名誉教授らの研究チームが発見したのは1992年だ。小野薬もこの分子に目をつけ、共同研究を進めた。PD―1が免疫抑制に関わっている仕組みが分かったのは99年で、創薬の研究開発が本格的に始まるまでにおよそ7年。実際の治療薬候補が完成し治験が始まったのは2006年で、開発から実用化までにおよそ15年かかったことになる。

 当時は「免疫療法は効果が弱い」「切った(手術)方が早い」など免疫療法に対する医療業界の反応は冷ややかだった。医師や学会だけでなく、数々の抗がん剤を実用化した製薬大手も開発に消極的だった。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 次へ
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる、業界がみえる。非上場企業を含む4200社、67業界のニュースとデータを網羅

【PR】

日経産業新聞 Editor’s Choice 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

学生らの構内の移動手段として18年度の実用化をめざす(福岡市)

自動運転バス、地方でGo 人手不足解消に一役 [有料会員限定]

 地方は大都市に比べて公共交通機関が脆弱だ。特に路線バスでは、運転手不足とそれに伴うコスト上昇が運行本数減少につながり、住民のバス離れを招いている。だが、自動運転技術を使えば、運転手不足は解消して採算…続き (1/15)

3000席の仮設アリーナ屋根をとりはずした模型(写真上)。プロバスケのホームコートなどでの利用を見込む。(同下)は5000席アリーナの外観

50年もつ仮設アリーナ、建設費と工期半減 [有料会員限定]

 構造設計の日本建築構造センター(東京・渋谷、井口哲朗社長)は仮設型アリーナを開発した。シンプルな構造で、建設費や工期を従来の半分以下に抑え、最長50年ほど使える。競技施設やイベント会場の相次ぐ改装を…続き (1/14)

富士フイルムの再生医療研究所

死なないカラダ 38兆円市場、争奪始まる [有料会員限定]

 病気やけがで機能しなくなった組織や臓器を新しいものと置き換える「再生医療」。ここに来て研究開発から実用段階に入ってきた。国が期待するiPS細胞の分野では、目の難病治療を目指す臨床研究が2017年前半…続き (1/8)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

日経産業新聞 ピックアップ2017年1月20日付

2017年1月20日付

・ソフトバンク系 ドローン動画、検査を素早く
・遺伝子操作で抗体改造 東大が新手法
・自販機+アプリで健康作り サントリー食品
・IBUKI センサー付き金型を開発
・ミスド 300店でアイス販売…続き

日経産業新聞 購読のお申し込み
日経産業新聞 mobile

[PR]

関連媒体サイト