日経産業新聞 Editor’s Choice

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

「緩まない」ねじ革命 2000年の歴史、VBが変える

(1/2ページ)
2014/8/27付
保存
印刷
その他

 総勢10人の小さなベンチャー企業が2000年の歴史を持つねじに革命を起こそうとしている。らせん構造を持つ従来のねじは時間の経過とともに緩むリスクがあるが、特殊な構造を持つ「緩まないねじ」を開発した。大幅増資を実施し、量産に備える。ねじの革命児を訪ねた。

緩まないねじを開発したNejiLawの道脇裕社長
画像の拡大

緩まないねじを開発したNejiLawの道脇裕社長

■学校に行かず発明続ける

 「学歴なし」「就職歴なし」。こんな経歴を申請書類に記入しながら、経済産業省や東京都の開発資金を受け取っている男がいる。緩まないねじの開発を手掛ける「NejiLaw(ねじろう)」(東京・江東)の社長、道脇裕氏(37)だ。

 道脇氏は10歳ごろに「僕は今の教育システムに疑問を感じるので、自分の足で歩むことに決めました」と一方的に小学校に“休学宣言”した。以来、漁師、とび職など様々な仕事を経験しながら、常に自分の頭で考えて行動を決めてきた。

 携帯電話が広まる前から、無線機を使って双方向で同時通話できるシステムを作るなど、学校にいかなくても発明を続けた。米国に渡って学んだこともある。緩まないねじは道脇氏のひらめきとこだわりから生まれた。きっかけのひとつは19歳のころ、ねじが原因で自分の運転する車のタイヤが外れたことだった。

画像の拡大

 ねじの締める力を強くするには、ボルトとナットなど互いのらせん構造を精密に作り込み摩擦力を強くすることが研究者やねじ業界の常識だ。それは今も変わらない。

 従来も「緩まない」を標榜するねじはある。だが、道脇氏は既存の商品は締め付ける摩擦力に頼る「緩みにくい」ねじだったとみていた。そこで、らせん構造そのものにメスを入れ、摩擦に依存しない「緩まない」ねじを実現しようとした。

 NejiLawの主力品である「L/Rネジ」のボルトには、右回りで締めるナットと左回りのナット、両方に対応した山が作り込まれている。2つのナットは同じ動きはしない。互いがぶつかると、相手をロックすることで緩みを封じる。

 道脇氏はねじの山の形を変えることで、用途に応じた緩まないねじを次々と発案した。だが道のりは平たんではない。

■IHI、橋梁での利用見込む

 「こんな難しい構造は作れない」。製造を委託しようにも金属加工メーカーからは断られた。そこで自ら製造工具や光学的な品質検査手法を開発し、商品化に道をつけた。「L/Rネジ」のサンプル価格は長さ10センチに満たないボルトとナット2つのセットで10万円前後。通常のねじと同じように材料やサイズは自由に変えることができる。

 L/Rネジの開発途上だった4年ほど前、米航空宇宙規格(NAS)に準拠した試験をすると、合格ラインの17分間まったく緩まなかった。それどころか、3時間ほどたつと試験装置のねじが壊れた。緩まぬねじの評判はたちまち広まった。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 次へ
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

関連キーワード

道脇裕NejiLaw産業革新機構

【PR】

【PR】

日経産業新聞 Editor’s Choice 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

米国で8月開かれたDARPA主催のハッキング大会で、ステージのAI搭載コンピューターが攻防を繰り返した

ゼロデイ攻撃の番人はAI、ハッキング大会で発展 [有料会員限定]

 8月4日、米ネバダ州ラスベガス。ホテルのイベントホールで、タイラー・ナイスワンダー氏は手持ちぶさたにしていた。頭脳があつまるハッキング大会で、自分のチームが戦っているのに仲間と話に興じている。
■人の…続き (12/4)

合田教授はセレンディピターの開発リーダーを務めている

深層学習の威力、衛星画像で最適な出店地域探る [有料会員限定]

 人工知能(AI)によって、これから数え切れないビジネスが生みだされていく。核になるのは、画像の特徴を自分で見つける深層学習のテクノロジーだ。世界が、宇宙やサイバー空間といったフロンティアで応用を競い…続き (12/3)

BNCT向けに中性子を発生させる加速器(大阪府熊取町の京都大学原子炉実験所)

がん狙撃手現る 世界初の中性子照射装置 [有料会員限定]

 中性子を利用してがん細胞だけを破壊する次世代の放射線治療装置が2019年度にも日本で産声を上げる。主な担い手は住友重機械工業で、京都大学などと臨床試験(治験)を進める。陽子線や重粒子線を使った先端の…続き (11/26)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

日経産業新聞 ピックアップ2016年12月2日付

2016年12月2日付

・アップレイ ワトソン使い英会話アプリに機能
・自転車競技者のクセ把握 同志社大 フォーム・筋肉計測
・脳のがん完全包囲 190カ所から放射線、マスクで照射分割
・王子HD 紙おむつを国内で増産
・濃縮液体洗剤「スーパーナノックス」 ライオン 生産能力1.5倍に…続き

日経産業新聞 購読のお申し込み
日経産業新聞 mobile

[PR]

関連媒体サイト