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AI世界トップ目指す中国の脅威

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2017/8/1 17:52
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 人工知能(AI)を開発するために必要な完璧な環境というのを想像してみてほしい。構成条件となるのは、膨大な処理能力、大勢のコンピューター科学者や技術者、巨額の資本、そしてコンピューターに様々なパターンを認識させて対応できるよう鍛えるために必要となる莫大なデータを抱えている、といったものだ。

 こうした条件は、現在AIの分野で世界の先頭に立つ米国には、十分当てはまるように思えるかもしれない。しかし、いくつかの点については、米国以上に中国の方がぴったり当てはまる。

百度が7月に発表した自動運転車。人口の多い中国はどの国よりもデータを蓄積できる強みを持つ=ロイター

百度が7月に発表した自動運転車。人口の多い中国はどの国よりもデータを蓄積できる強みを持つ=ロイター

 中国はクラウドコンピューティングの能力を急激に増強している。質では劣るにせよ、AI研究の純然たる量では、中国の学者は今や米国の学者をしのぐ。実際、中国が出したAI関連の特許申請件数は2010~14年に、その前の5年間のほぼ3倍に達した。中国のAIに関連する新興企業はベンチャーキャピタルから莫大な資金を呼び込んでいる。

 何より中国は、7億人以上のスマートフォン(スマホ)利用者を抱えており、その数は世界のどの国よりも多い。彼らは様々なデジタルサービスを消費し、音声アシスタントを利用し、店頭ではスマホを決済端末にかざして代金を支払っている。そして、その間、常に膨大な量のデータを生み出し続けている。

■AI開発戦略を発表

 この状況がアリババ集団や百度(バイドゥ)、騰訊控股(テンセント)といった中国企業に、顔認識からボット(対話機能)まで、あらゆる分野で最高のAIシステムを開発するチャンスを与えている。中国政府はAIの可能性を確信している。そのため、7月20日には、30年までにAIの分野では世界をリードする大国になることを目指す開発戦略を発表した。

 世界で人口の最も多い国でAIブームを起こすことは、多大な可能性を秘めている。まず、コンピューターの深層学習(ディープラーニング)能力は、データが多ければ多いほど深められるからだ。

 中国ほど膨大なデータを生み出している国は他にはない。例えば、非常にまれな病気であっても、人口が多いことからその兆候に関するデータを多く収集し、深層学習に生かすことができる。そのため、多くの新技術の開発ペースも速まるだろう。

 中国では、漢字を打ち込む手間が面倒なため、音声による支援サービスが欧米よりも普及している。従って、音声支援システムを改善させるスピードもその分、速いはずだ。道路沿いに設置したカメラから送り出す映像に反応して、交通信号機が自動的に調整するシステムもすでに実験が進んでいる。

 米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査部門マッキンゼー・グローバル・インスティチュートによると、AIを活用した自動化は中国の国内総生産(GDP)の伸び率を年間1%以上押し上げる可能性があるという。

■外国企業を規制

 だが、中国のAI推進計画には心配すべき点もある。一つの懸念は、中国が成し遂げたブレークスルーの恩恵が同国のデータ保護主義によって打ち消されてしまうことだ。

 中国政府が6月に施行した「インターネット安全法」は、中国に進出している外国企業に対し、中国で収集した顧客に関する個人情報を中国国内に保存することを義務付けている。つまり、外国勢は第三者にサービスを提供するために中国で収集したデータを活用することができない。これを受け、各国政府がその報復として自国で事業を展開する中国企業に対し、同様の制約を課す可能性は十分あるだろう。

 また、収集してきたデータをまとめて蓄積して使えなければ、自動運転などの商品を動かすアルゴリズムの開発にすべてのデータを生かすことができず、最も効率の高い商品開発には至れないかもしれない。

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