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トランプ大統領を見切る市場

2017/7/19 8:31
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 難航していた米医療保険制度改革法(オバマケア)撤廃と代替法案がついに議会採決断念に追い込まれた。

 マイク・リー上院議員とジェリー・モラン上院議員が新たに反対を表明したところで、共和党内の造反議員数が4人に達し、上院可決は絶望的となり、マコネル共和党院内総務が白旗を上げ断念を表明したのだ。トランプ大統領も「まずはオバマケアを撤廃すべし。代替法案はゼロからやり直し。民主党も乗ってくる!」と空元気気味のツイートを発している。

 この展開を受け、マーケットの反応は株・ドル・ドル金利のトリプル安。特に外為市場ではドルインデックスが94台まで下落。トランプ大統領の経済政策への期待から一時は103台まで上昇したが、結局、米大統領選挙の運動期間中の水準まで戻ってしまった。いわゆるトランプトレードの終焉(しゅうえん)を告げる如き動きだ。トランプ政権の支持率が36%にまで低下しているが、市場もドル売りで不信任票を投じたとも言えよう。

 債券市場でも、米10年債利回りが世界的な緩和から引き締めへの転換の流れの中で上昇傾向にあったが、再び2.2%台まで下落している。

 くしくも、ゴールドマン・サックスが決算報告で債券トレーディング収入の40%減を発表した。決定的な方向感に欠ける債券市場を象徴する事例と市場では受け止められている。NY株も一時は失望感からダウ平均が150ポイント以上急落する場面もあった。ただし決算シーズンの中、その後は戻している。

 この政治的要因が市場に与える影響は一過性とはいえない。国民生活に直結する案件ゆえ政策優先度はトップ扱いの案件だ。しかも、オバマケア見直しで削減される歳出を大型減税の財源の一部として見込んでいた。このままでは、大型インフラ投資も減税も実現の見通しがつかない。

 これまで、議会承認の時期が遅れても、内容が妥協で薄まっても、トランプ財政政策への期待は根強く市場内に残っていた。しかし、その淡い望みを砕くような展開になってきたのだ。

 造反議員たちの争点は結局、政府の負担を増やすのか、国民に負担を求めるのか。溝は深く、最適の解の組み合わせ無き連立方程式だ。

 そもそも、市場が前提としてきたトランプ時代のポリシーミックスは金融正常化(引き締め)と大型財政出動であった。その金融政策はインフレ指標伸び悩みで、想定された利上げペースの実現も危ぶまれてきた。そして、畳み掛けるかの如く、財政政策が大きく揺らいできた。

 イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長も繰り返し、金融政策への依存だけでは限界があることを明言してきた。財政政策が揺らげば利上げも資産縮小もおぼつかない。

 イエレン氏の議会証言から、今週の欧州中央銀行(ECB)理事会、日銀金融政策決定会合と、金融政策ばかりに市場の関心が集まっていたが、トランプリスクが再び頭をもたげてきている。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経ヴェリタス「逸’s OK!」と日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層心理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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