アジア > コラム > The Economist > 記事
アジア最新ニュースの掲載を始めました

The Economist

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

埋められた毒 中国が隠す土壌汚染

(1/2ページ)
2017/6/26 6:30
共有
保存
印刷
その他

The Economist

 トランプ米大統領が6月1日に地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を宣言しても、中国が離脱しないとしたことに多くの人が喜んだ。

 米国が離脱表明したことで、地球温暖化との戦いを指揮するリーダーは今や中国だ、とみる向きがある。それは、中国共産党が推し進めたくてたまらない自国の国際イメージだろう。

 中国は世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国だが、近年はそれを削減する努力をしてきた。過去3年間連続して、火力発電に使う石炭消費量を前年より減らしてきたし、2016年に新たに設けた風力発電能力の規模は世界一であり、同2位だった米国の3倍に上る。

 専門家の中には、中国のCO2排出量が25年をピークに減少に転じる可能性があるとみる者もいる。それは、パリ協定で中国が設定したよりも5年早い。だが、中国を地球環境保護のリーダーと呼ぶのは時期尚早だ。

■大気や水質汚染は公表したが

中国の土壌汚染の情報は機密扱いだった(写真は農場と隣り合わせの化学工場。河北省邯鄲市)=ロイター

中国の土壌汚染の情報は機密扱いだった(写真は農場と隣り合わせの化学工場。河北省邯鄲市)=ロイター

 中国の大気汚染と水質汚染は有名だ。あまり知られていないが土壌汚染も深刻さでは劣らない。だが、問題がどれほど深刻かを数値で計るのは難しい。中国政府が極めて不透明なためだ。2006~11年に実施された土壌調査の結果は当初、機密扱いとされていた。

 この調査結果の多くはいまだ非公開だが、1つ不吉な統計が明らかになっている。中国の農地の5分の1が許容限度を超える汚染物質を含んでおり、作物の安全性が脅かされているところもあるというのだ。

 世界人口の18%を抱えながら、農業に利用できる土地は世界の7%しかない中国にとって、これは大問題だ。土壌の洗浄は非常に難しく、莫大な費用がかかる。土壌は動かないので、汚染物質は何世紀にもわたってそこに留まり続ける。

 国民の不安は高まっている。試しに誰か中国人に「カドミウム米」のことを聞いてみるといい。これは重金属であるカドミウムを含んだ米で、体内に摂取されると、腎臓障害、肺疾患、骨の異常などを引き起こす恐れがある。工場から漏れ出たカドミウム汚染水が、水田に入り込むことがあり、その結果、「カドミウム米」が食卓にのぼるのだ。

 13年に、ある報告が中国の国民を震かんさせた。中国南部、広東省の広州市で検査したところ、飲食店や社員食堂で出される米の半分近くがカドミウムに汚染されていたことが判明したという。

 国民があらためて意識したのは、土壌汚染は「がん村」(がんによる死亡率の高い村)のような一部の地域だけでなく、国全体に広がる問題であって、中国政府はその真実を明らかにしてこなかったという事実だ。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップアジアトップ

The Economist 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

厳しい監視網は敷かれているが、北朝鮮の国民は携帯端末を通じて様々な物を見ることができるようになった=AP

AP

北朝鮮の通信網 統制か覚醒か

 世界は北朝鮮を「隠者の国」だと思っているかもしれないが(編集注、19世紀後半に米国の東洋学者ウィリアム・グリフィスがこう命名した)、意外にもこの国の2500万人の国民は情報機器を持っている。
 都市部…続き (8/15)

百度が7月に発表した自動運転車。人口の多い中国はどの国よりもデータを蓄積できる強みを持つ=ロイター

ロイター

AI世界トップ目指す中国の脅威

 人工知能(AI)を開発するために必要な完璧な環境というのを想像してみてほしい。構成条件となるのは、膨大な処理能力、大勢のコンピューター科学者や技術者、巨額の資本、そしてコンピューターに様々なパターン…続き (8/1)

ロボットコンペに参加した中国の学生ら。中国政府はAIで中国が世界を主導するために支援体制を強化すると発表した=AP

AP

中国AI、米に肉薄 データ数で圧倒的に優位

 AI開発の分野で、先頭を行く米国に中国が迫りつつある。一部の分野では既に追い越しているようだ。ネット利用者の絶対数の多さがもたらすデータの量と多様性が、深層学習分野で有利に働く。既存のIT(情報技術…続き (7/28)

NIKKEI ASIAN REVIEW

COMPANIES TO WATCH

[PR]