イチロー フィールド

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

イチローの打撃の神髄、ゼロコンマ何秒の世界(中編)
スポーツライター 丹羽政善

(1/2ページ)
2017/6/12 6:30
共有
保存
印刷
その他

 50エーカー(約20万2300平方メートル)と聞いても、土地の広さを具体的に想像することは難しい。しかし、東京ドーム約4.3個分と補足されると、なんとなくその大きさが把握できる。大リーグでもその数字単体では解釈が難しくとも、比較したり置き換えたりすることで、がぜんわかりやすくなることがある。打率や打点、勝ち星といった数字ならともかく、最近は投手が投げる球の回転数、打球の初速といったこれまでは「キレがある」とか「強い打球」などと漠然と形容されていた数値までわかるようになり、むしろそうした補完作業をしないと実像が見えてこない。スイングスピードなど、まさにそうだ。

 5月15日付で、3月に続いてイチローのスイングスピードをテーマにした「イチローの打撃の神髄、ゼロコンマ何秒の世界(前編)」を紹介した。そのとき1年間の平均値では大ざっぱすぎるので、過去2年分と5月10日までの数値を10日ごとに区切ってたどったところ、その短期間でも変動があり、スイングスピードの差が10キロを超えることも珍しくなかった。

スイングスピードが速いほど始動を遅らせることができ、ボールを長く見られるため、選手にとってはアドバンテージとなるという=USA TODAY

スイングスピードが速いほど始動を遅らせることができ、ボールを長く見られるため、選手にとってはアドバンテージとなるという=USA TODAY

 では、速くなっていることが何をもたらしているのか。アストロズのアロンゾ・パウエル打撃コーチの言葉を借りながら、ひとまずこう仮説を立てたのが前回までの話である。

 「スイングスピードが速ければ速いほど、その分、始動を遅らせることができ、ボールを長く見られるため、選手にとってはアドバンテージとなる」

 果たして、実際はどうなのだろうか。例えば、スイングスピードが10キロ違うとすれば、どれだけ長くボールを見られるのか。今回、スポーツバイオメカニクスが専門で、国立スポーツ科学センターで野球打者のスイング技術の評価をテーマに研究している森下義隆さんに、その違いを尋ねた。

平均速度が速くなったかどうか

 すると、まず森下さんは重要な指摘をしてくれた。

 スイングスピードの値は、大リーグの各球場に設置され、球速やリリースポイント、打球の初速などを弾き出す「STATCAST」で得られるデータだが、その数値は「インパクト直前の瞬間的なスピードのことであり、スイングを開始してからインパクトまでの時間における平均速度を表していない」そうだ。その場合、必ずしもボールを長く見ることができる要素とはならないという。

 「平均スピードが速くなっていれば投球軌道を観察する時間が長くなりますが、そうでなければボールを見る時間が長くなるとは限りません」

 そもそもSTATCASTでは、スイングして打球が前に飛んだ場合のスピードしか求めることができない。また、バントも平均値に含まれてしまうため、解釈には注意も必要だ。今回はわかりやすく理解するため、以下の条件でスイングスピードの違いによって生まれる差を森下さんに算出してもらった。

 森下さんが設定した条件は以下の通り。

 イチロー選手のスイング時間(スイングを開始してからインパクトを迎えるまでの時間)を0.15秒と仮定する。その上で、スイング開始から一定の加速度(線形)でスイングスピードが増していき、インパクトの瞬間に時速90キロ、または同100キロに達したものとしてバットの移動距離を算出する。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップスポーツトップ

大リーグコラム

イチロー フィールド 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

イチローの去就にも影響は避けられない=APAP

 昨年11月25日にキューバ革命を主導したフィデル・カストロ前国家評議会議長が死去したとき、キューバ移民が多く住む米マイアミのリトルハバナではお祭り騒ぎとなり、その様子が繰り返しテレビで流れた。
 今年 …続き (6/26)

イチローにとってその60センチは何を意味するのか=USA TODAYUSA TODAY

 50エーカー(約20万2300平方メートル)と聞いても、土地の広さを具体的に想像することは難しい。しかし、東京ドーム約4.3個分と補足されると、なんとなくその大きさが把握できる。大リーグでもその数字 …続き (6/12)

今季のイチローは三振の割合が非常に高い=APAP

 マンハッタンの郊外に「ストームキング・アートセンター」という屋外のミュージアムがある。圧巻なのが、日系米国人で彫刻家や画家として広く日米で知られるイサム・ノグチの石彫「MOMOTARO」。ちょうど、 …続き (5/29)

ハイライト・スポーツ

[PR]