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トランプ氏不信を映す円高・ドル安

2017/6/7 11:46
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 ニューヨーク(NY)のヘッジファンド業界で今週話題になっているのが、米著名投資家、レイ・ダリオ氏の米トランプ政権を憂う発言だ。同氏はブリッジウォーター・アソシエーツという巨大ヘッジファンドの創設者ゆえ、注目度も極めて高い。

6日寄り付きのNY証券取引所フロアにて

6日寄り付きのNY証券取引所フロアにて

 ダリオ氏は、かつて米大統領選挙でのトランプ氏勝利を歓迎し、経済活性化を期待していたが、今週、明確に変心したことを明らかにしたのだ。

 「全体と部分に分ければ部分、調和と対決に分ければ対決を選ぶ強い傾向がトランプ大統領にみられる。心配だ。その影響は我々に及ぶ」とSNS(交流サイト)を通じて語った。

 今週、トランプ政権とロシアとの関係を巡る疑惑「ロシアゲート」について議会証言する予定で注目されているコミ―前米連邦捜査局(FBI)長官も、ブリッジウォーターの法律顧問を3年間務めた経歴がある。

 ダリオ氏は信頼している人物が窮地に立つことが心配のようで、コミー氏を評価する発言もしている。

 ここにきて、米経済界とトランプ政権のあつれきが一段と目立つようになった。一時はホワイトハウスに招かれた大企業トップたちが、そろってトランプ氏に理解を示した蜜月の時期もあった。しかし、トランプ政権による、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」からの離脱決定が決定的な溝を作った。多くのトランプ支持の最高経営責任者(CEO)たちまでが反対するなかで強行したからだ。特に多国籍企業にとって、米国の孤立はゆゆしき問題である。

 いまだトランプ氏の財政政策案に期待を残す経済人も多い。しかし、その期待は時を追うにつれ、揺らいでいる。

 トランプ氏は今週を「インフラの週」と位置づけ、目玉の大型インフラ投資を盛り上げるはずだった。しかし、具体的な内容は依然として不透明だ。結局、失望感という逆効果を生んでいる。

 さらに、減税案に関しては、まず議会が債務の上限引き上げを承認することが前提になるのだが、これが容易でない。なかなか本丸の議論にたどり着けないいらだちが市場でも顕在化してきた。

 ヘッジファンドによる外為市場での大規模なドル売り攻勢がその一例だ。今回のドル売りは、トランプ政権に対するマーケットからの不信任投票という側面が透ける。

 その結果、主要通貨に対するドルの総合的な動きを示すドルインデックスも年初には100の大台を突破して103程度までドル高が進行していたが、いまや、96台に沈んでいる。

 円もあおりを受け急伸した。トランプ氏に対する不満が遠因となっているところに、今回の円高の特徴がある。ドル高に警戒感を示したトランプ氏が、自ら招いた不信感で、ドル安に軌道修正できた、という皮肉な結果となった。

 それでも、トランプ氏は懲りずに、イスラム系のロンドン市長をテロ対策が甘いと繰り返しツイッタ―で批判し、党内からもひんしゅくを買った。ダリオ氏のいう「対決」を好む事例だが、マーケットには、そのようなツイートをする時間があるなら、本丸の経済政策を優先してくれ、との思いが募る。

 著名投資家のジム・ロジャーズ氏も、先日の筆者との対談で、トランプ氏へのいら立ちを隠さなかった。「米国は明らかに漂流している。経済の流れもおぼつかない。同じドル安でも、ドル金利の急落に加え『米国売り』という悪性の症状を感じる」との趣旨だった。

 まずは、全米がかたずをのむコミ―前FBI長官の議会証言で新たな爆弾発言が飛び出すかどうか。トランプ氏は6日、記者団からコミ―氏について問われ、「幸運を祈る」と一蹴した。

 結果次第で、「悪いドル売り」、そして円高が加速すると、とばっちりは日本株にも及ぶ。市場は、トランプ相場の負の連鎖からの脱却を模索している。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経ヴェリタス「逸’s OK!」と日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層心理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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