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兼業から専業へ、米配車サービスのドライバーに地域差
瀧口 範子(フリーランス・ジャーナリスト)

2017/6/5 6:30
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 米テキサス州で5月下旬、知事が配車サービスに対する規制を緩める枠組みに署名した。同州では、州下の都市がドライバーには指紋登録やバックグラウンド・チェックが必要などとして厳しい規制を敷いたため、ウーバーやリフトなどが撤退したという背景がある。今回の署名でそうした厳しい規制が事実上無効になる。ウーバーは早速サービスを再開している。

米国でウーバーのサービスに使われている車
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米国でウーバーのサービスに使われている車

 私はニュースを知り、3月に同州のオースティンへ行った際に利用した、地元の配車サービスを思い出した。二大サービス撤退後、オースティンでは地元で生まれたものを含め小規模の企業数社がサービスを提供していた。そのうち私が利用したのは、ファステンという会社だ。

 利用方法はリフトやウーバーとほとんど変わらないが、全く違った印象だったのがドライバーたちである。まず、ほとんどしゃべらない。西海岸のサンフランシスコやロサンゼルスでは、後部座席に乗り込むなり「ハーイ!」と満面笑顔のドライバーに迎えられ、おしゃべりが始まるのが通例だ。だが何度か乗ったオースティンのドライバーは、話しかけられたくない雰囲気もあった。

 しかも、配車が決定した時、車種は表示されても、ドライバーの名前が表示されない。名前と顔写真入りでどんな車がやってくるのかがあらかじめわかるサービスに慣れていると、あまりオープンでない感じだ。

 またサンフランシスコやロサンゼルスではドライバーがせかせかと急いでいる一方、オースティンはおっとりめ。ひとつずつゆっくりやっています、という印象だった。

 同じ配車サービスでもこの違いは、土地柄によるものなのか、厳しい規制下でしっかり審査に通過した人々だからなのか。気がついたのは、少なくともサンフランシスコやシリコンバレー地域のドライバーは、今やそれを専門にする人々がほとんどということだ。

 配車サービスは、ネットで単発の仕事を受発注する「ギグ・エコノミー」の一種。普通の人が時間のある時にひと仕事して稼ぐ前提で始まった。当初は「仕事革命」のような新鮮さがあった。

 確かに最初は普通の人たちが多かった。職を変えたくて資格をとっている最中で、時間のある時に運転しているとか、リタイアしたばかりでちょっとやってみているといった人たちだ。だが最近のドライバーは、朝から夕方まで運転しているとか、昼過ぎから夜までという人たちばかりだ。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

 ウーバーとリフトを両方掛け持ちしているというドライバーも多い。もちろん掛け持ちは悪いことではないが、私はそのために憂き目にあったことがある。

 やってくるはずの車の待ち時間の表示が短くならず、どんどん長くなっていった。実はリフトで私の迎車を確定した時、ドライバーはウーバーで別の客を送り届ける最中だったのだ。二つの地点がひどく遠距離でなかったからいいものの、空港へ向かおうとしていた私はかなりヤキモキした。

 また以前ウーバーのドライバーに追突されたことがある。その際、彼の車がレンタカーだと知って驚いた。ウーバーやリフトはレンタカーやリースの仲介までしている。

 ギグ・エコノミーは、遊んでいる自分の時間や車、家をマネタイズできるというのもうたい文句の一つだった。しかし、もう仕事のために必要な道具を揃える、という逆転が起こっているのだ。ドライバーたちは普通の人というよりは、もはやフリーランスのプロだ。

 そうして思い出してみると、オースティンのドライバーたちはかつてサンフランシスコにもいた牧歌的な存在のような気がしてくる。規制が緩くなって大手のウーバーやリフトが本格的に展開すると、そんな風景も大きく変わるのだろう。

[日経MJ2017年6月5日付]


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