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スウォッチ新本社 3D加工で木造シェルの限界に挑戦

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2017/7/11 6:30
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日経アーキテクチュア

 木造のグリッドシェルが生き物のようにうねりながら建物を包み込む。建設中のスウォッチ新本社は薄い木造シェルの限界に挑んだ。設計者である日本の建築家・坂茂氏は、欧州の木造技術に学ぶ重要性を説く。

 逆さに置いた巨大な木の籠を、鳥の気分で眺めているようだった(図1)。

図1 木造グリッドシェルの施工現場。屋根をETFE(熱可塑性フッ素樹脂)の空気膜で覆って日射を多く取り入れる(写真:日経アーキテクチュア)
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図1 木造グリッドシェルの施工現場。屋根をETFE(熱可塑性フッ素樹脂)の空気膜で覆って日射を多く取り入れる(写真:日経アーキテクチュア)

 上の写真は世界的時計メーカー、スウォッチ・グループが建設を進める「スウォッチ新本社」だ。木造グリッドシェルの天井は、完成すると生物のように有機的な形状を描く(図2)。

図2 公道をまたいでうねる屋根。スウォッチ新本社には街のランドマークとしての期待が掛かる。木造グリッドシェルの屋根は、博物館などが入る「オメガ2」の最上階を覆うように重なる(資料:ArtefactoryLab/TheSwatchGroup)
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図2 公道をまたいでうねる屋根。スウォッチ新本社には街のランドマークとしての期待が掛かる。木造グリッドシェルの屋根は、博物館などが入る「オメガ2」の最上階を覆うように重なる(資料:ArtefactoryLab/TheSwatchGroup)

 巨大なシェルは公道をまたぎ、道路の西側に建設中の複合ビル「オメガ2」の天井にかぶさる。シェルの内側に入ると、木材が縦横に複雑にねじれながら組み合わさっている様子が分かった。まるでプレス機で金属を加工したかのような形状だった。

図3 スイス国旗やスウォッチのブランドに使われる白十字を筋交いにした。ETFEの空気膜の内側に設置して雨音などを吸音する(写真:日経アーキテクチュア)
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図3 スイス国旗やスウォッチのブランドに使われる白十字を筋交いにした。ETFEの空気膜の内側に設置して雨音などを吸音する(写真:日経アーキテクチュア)

 グリッドで構成する屋根と壁面は、ETFE(熱可塑性フッ素樹脂)の空気膜やガラスなどで覆う。日射を多く取り入れることによって、建物の温熱環境を整える。ETFEの空気膜などの効果は、施工現場の隣に設置した実大モックアップで確認している。

 ETFEの空気膜には、所々に吸音用の十字の筋交いを入れる。白十字はスイスの国旗に描かれたデザインであると同時に、スウォッチのブランドを示すマークでもある(図3)。

■巨大な木材を削り出す

 スウォッチ新本社は、スイス北西部のビール(ビエンヌ)で進行する3棟のビルの新築プロジェクトの一部だ。スウォッチ新本社のほか、オメガブランドの生産施設「オメガ1」と、博物館などを備える「オメガ2」を建設する(図4、図5)。建設地のビールはスイスの時計生産の中心地だ。スウォッチ・グループと競合するロレックスも拠点を構える。

図4 3つの建物に木造を活用。東から西へ「スウォッチ新本社」、公道を挟んで博物館などの「オメガ2」、生産拠点の「オメガ1」の3棟を新築する。オメガ1は鉄筋コンクリートのコアを囲むような木造の柱梁構造でオメガブランドの最新鋭工場となる。オメガ2は1階ピロティより上層階を純木造で建設し、博物館や会議室の機能を備える(資料: ShigeruBanArchitectsEurope)
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図4 3つの建物に木造を活用。東から西へ「スウォッチ新本社」、公道を挟んで博物館などの「オメガ2」、生産拠点の「オメガ1」の3棟を新築する。オメガ1は鉄筋コンクリートのコアを囲むような木造の柱梁構造でオメガブランドの最新鋭工場となる。オメガ2は1階ピロティより上層階を純木造で建設し、博物館や会議室の機能を備える(資料: ShigeruBanArchitectsEurope)

図5  L字形の敷地に建てるスウォッチ新本社は、生き物のようにうねっている。建物のコアや床スラブは鉄筋コンクリートで建設し、それらを有機的な形状の木造グリッドシェルで覆う(資料: ShigeruBanArchitectsEurope)
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図5  L字形の敷地に建てるスウォッチ新本社は、生き物のようにうねっている。建物のコアや床スラブは鉄筋コンクリートで建設し、それらを有機的な形状の木造グリッドシェルで覆う(資料: ShigeruBanArchitectsEurope)

 3棟を建てるプロジェクトの設計者には、国際コンペで坂茂氏が選ばれた。坂氏の斬新なデザインを採用した発注者のスウォッチ・グループは、木を構造材に用いた3つの建物のなかでも特に目を引くスウォッチ新本社が、街のランドマークになることを期待している。

 スウォッチ新本社は、建設のために購入した敷地がL字形だった。そこで、建物のコアや床スラブを鉄筋コンクリートで建設し、それらを生物的な形状の木造グリッドシェルで覆う計画にした(図5)。

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