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東芝・WD、深まる溝 活況「四日市」は冷淡

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2017/5/19 6:30
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 東芝による半導体メモリー事業の売却手続きが難航している。19日に2次入札の締め切りを迎えるが、主力拠点の四日市工場(三重県四日市市)などを共同運営する米ウエスタンデジタル(WD)との対立が激化しているからだ。四日市工場はかつて世界を席巻した日本の半導体産業にとって「最後の砦(とりで)」だ。両社の係争が長引いて戦略投資など打つ手が遅れれば、工場の競争力は低下し共倒れになりかねない。

東芝メモリの四日市工場(三重県四日市市)
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東芝メモリの四日市工場(三重県四日市市)

 16日午後3時。四日市工場の製造棟内の会議室では重々しい雰囲気が漂っていた。東芝本体から4月に分社されたメモリー事業会社「東芝メモリ」の管理職数十人が集まり、緊張の面持ちで東京・浜松町の東芝本社からの指示を待っていた。

 「本当にやるのか」「自分達の首を絞めることにならないか」――。会議室で出てくるのは焦りの声ばかり。東芝がWD技術者からの情報アクセスを遮断すると警告、その期限が迫っていた。

 東芝とWDは四日市工場と大船事業所(横浜市)、米国シリコンバレーのミルピタス開発拠点の技術者が設計データなどをネット経由で共有しながら同時並行でメモリー開発を進めている。情報アクセスが遮断されれば、開発業務に支障をきたすのは明らかだった。

 期限とした米国西海岸時間の15日深夜0時は日本時間で16日午後4時。4時直前に本社から「遮断見送り」の指令が届くと、会議室には安堵感が広がったという。

 東芝メモリの売却を巡って対立してきた東芝とWDが重大局面を迎えたのは、日本時間でその前日の15日のことだ。WDが売却差し止めを求めて国際商業会議所(ICC)国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てた。WD側の同意がない入札方式の売却は契約違反というのが根拠だった。「契約に抵触しない」とする東芝側はアクセス遮断という対抗措置をいったん見送ったものの、両社の協議は再開されていない。

■現場は士気高く

 ただ、四日市工場に目を向ければ、現場は活気にあふれている。NAND型フラッシュメモリーは需給が逼迫し販売価格も安定しており、「作れば、作るほどもうかる」(東芝幹部)状態だ。

 さらに、次世代品の64層の最先端「3次元メモリー」の歩留まり(良品率)向上は想定通りに進んでいる。「サムスン電子との(生産技術の)開発の遅れを今年は取り戻せるかもしれない」(東芝幹部)という。

 両社の技術者が同居する現場は士気が高く、“東京”と“シリコンバレー”の対立に冷ややかだ。ある東芝メモリ幹部は「我々は4月に東芝から独立した。もう東芝本社は関係ない」と吐き捨てる。それも当然だろう。経営陣による相次ぐ失態の生贄(いけにえ)にさせられる格好で、近年は名門・東芝の屋台骨を支えてきたメモリー事業が売却されることになったからだ。

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 四日市工場の歴史は世界の半導体市場で東芝が飛躍し、その後の激しい競争を巧みな経営判断と現場力で勝ち抜いた軌跡だ。東芝がパソコンなどに使われる1メガ(メガは100万)ビットDRAMで大勝利を収めた資金を活用して1992年に最先端工場として稼働した。

 90年代後半はDRAMの供給過剰で市況が暴落し、NEC日立製作所などは巨額赤字を計上し世界大手から転落した。唯一、踏みとどまったのが東芝だ。フラッシュメモリーに経営資源を集中させる経営陣の先見性は見事だった。99年に同メモリーのベンチャー企業だった米サンディスクと提携したことが大きかった。両社で合弁契約を結んで巨額投資の負担を分担、四日市工場で最新鋭設備をそろえ競争力のある製品を量産できた。

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