一枚上手の相撲論(浅香山博之)

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

やはり基礎が大切 稀勢の里から学ぶ「力士とけが」

(1/2ページ)
2017/5/12 6:30
共有
保存
印刷
その他

 14日に初日を迎える大相撲夏場所(東京・両国国技館)では、3連覇を狙う横綱稀勢の里に大きな注目が集まるだろう。記憶に新しいのが春場所の千秋楽。左上腕二頭筋などのけがを押して出場、大関照ノ富士との本割、優勝決定戦と2連勝して劇的な逆転優勝を飾った。結果としてはよかったと思うが、これを機会に「力士とけが」の問題について考えてみたい。

春場所13日目に日馬富士の寄り倒しで土俵下に落ち、痛みをこらえる稀勢の里

春場所13日目に日馬富士の寄り倒しで土俵下に落ち、痛みをこらえる稀勢の里

 13日目に横綱日馬富士に寄り倒された稀勢の里が土俵下で痛がる様子を見て、よっぽどのことなんだと思った。14日目以降の出場は厳しいとみていただけに、よく出てきたなというのが正直なところだった。出場の判断は難しかったと思う。出られるかどうかは、けがをした本人にしかわからないし、周りの人がとやかく言えることでもない。ただ、けがとどう向き合うかは慎重に考えないといけない。

 私もけがには苦い思い出がある。2008年の九州場所。場所前の稽古で右ふくらはぎの肉離れを起こしたものの、地元の場所だからと無理をして出場した。本来は体全体を使って相撲をとらないといけないのに、下半身がうまく動かず、足をかばうために上半身だけ思い切り当たって攻めようとした。相手にかちあげていったら、腕だけでいったために左上腕三頭筋を損傷。結果的に新たに大けがをして4日目から休場し、しばらく相撲が一切とれなくなってしまった。

 たとえば左をけがすると、左をかばうことによって、右ばかり使うようになり、右や別の場所にも負担がかかっていく。そうして新たにけがをしたら、これから先の相撲人生にも影響してしまう。それが一番怖い。けがをしても出るのは必ずしもいいこととはいえない。

「下がって無理」はけがの原因

7日に追手風部屋で大栄翔(手前)を相手に出稽古する稀勢の里=共同

7日に追手風部屋で大栄翔(手前)を相手に出稽古する稀勢の里=共同

 あと、今回あらためて教訓になったのは、稀勢の里がけがをした13日目の相撲だ。日馬富士に押し込まれて下がり、無理して残って何とか相手を崩そうと思って振ったところ、土俵下に落とされてけがをした。稀勢の里は初土俵から15年間でわずか1日しか休場していない頑強な力士。前に前に攻める、あの稀勢の里でさえも、下がって無理をすればけがをする。ほかの力士は「下がると危ないんだな。前に出よう」と感じればいい。そうすると、力士のけがは減っていくと思う。

 相撲で前に出ているときは、けがはそうそうしない。大きなけがにつながるのは引いたり、絶対に無理があるところで残ったり、強引に投げにいったりするとき。投げるにしても相手を崩したり、前に出たりしながらならいいが、体を開きながら投げるのは危ない。重い人間を投げるには当然思い切り力を入れるし、体にも相当な負担がかかる。若いうちはまだいいけれど、年を重ねるとそうもいかない。自分もけがをしたときは「いらん動きをしてしまった」といつも後悔した。前に出ていれば相手に圧力をかけられ、自分の体の負担を減らせる。弟子たちには「前に出ろ」と口を酸っぱく指導している。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップスポーツトップ

関連キーワードで検索

大相撲稀勢の里照ノ富士日馬富士安美錦春場所

相撲のコラム

大相撲のコラム

一枚上手の相撲論(浅香山博之) 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

春場所13日目に日馬富士の寄り倒しで土俵下に落ち、痛みをこらえる稀勢の里

 14日に初日を迎える大相撲夏場所(東京・両国国技館)では、3連覇を狙う横綱稀勢の里に大きな注目が集まるだろう。記憶に新しいのが春場所の千秋楽。左上腕二頭筋などのけがを押して出場、大関照ノ富士との本割 …続き (5/12)

春場所に向けて高安(左)と稽古する新横綱・稀勢の里=共同共同

 12日に初日を迎える大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)で「横綱・稀勢の里」がデビューする。この晴れ舞台を迎えるまでに優勝次点12回。新入幕から所要73場所での横綱昇進は昭和以降もっともスロー出世 …続き (3/10)

稽古総見で汗を流す豪栄道(左)。昨年は30代での初戴冠となった=共同共同

 2016年の角界は白鵬と日馬富士、鶴竜の3横綱に加え、琴奨菊と豪栄道の両大関が初優勝を果たした。1年で5人の力士が賜杯を分け合ったのは2000年の武双山と貴闘力、私(魁皇)、曙、武蔵丸以来16年ぶり …続き (1/6)

ハイライト・スポーツ

[PR]