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イチローの勇姿 見納め? 3年ぶりシアトル帰還
スポーツライター 丹羽政善

(1/2ページ)
2017/4/17 6:30
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 米大リーグのマリナーズがイチローと契約したのは2000年11月のこと。その数年前、ほぼ創業時から米国任天堂の上級副社長などを歴任し、昨年までマリナーズの最高経営責任者(CEO)を務めたハワード・リンカーン氏(現米国任天堂相談役)は京都を訪れたとき、故・山内溥社長(当時)から尋ねられた。

いくらで入札したらいいのか

マリナーズ入団発表でイチロー(左)と握手するリンカーンCEO(01年1月)

マリナーズ入団発表でイチロー(左)と握手するリンカーンCEO(01年1月)

 「リンカーンさん、イチロー・スズキという野球選手を知っていますか」

 「いや、名前を聞いたことはありません」

 眉をひそめるリンカーン氏に山内さんは続けた。

 「じゃあ、覚えておいた方がいい。彼を獲得したいから」

 00年オフ、大リーグ挑戦を決断したイチローがポスティングされた。忖度(そんたく)もなにもない。オーナーから直接、「取ってほしい」と言われているのだから、マリナーズとしては動くしかない。しかしそのとき、リンカーン氏は頭を抱えた。

 「いったい、いくらで入札したらいいんだ?」

 ポスティング制度は海外フリーエージェント権を取得する前のプロ野球選手が、米大リーグ移籍を所属球団に認められた場合に利用できる。同制度が適用されたのはそのときが初めて。前例もなければ、相場もない。

 見たことも聞いたこともないモノの値段を言い当てるようなもので、しかも、間違いが許されない。漠然と1312万5000ドル(当時の為替レートで約14億円)という数字をはじき出したものの、確固たる根拠があるわけではなく、リンカーン氏は米国任天堂の荒川実社長(当時)に電話で相談をした。

 「山内さんは、是が非でもイチローを欲しいといっている。でも、いくらで入札したらいいのか、見当がつかない」

 すると荒川氏は、山内さんの意向を受けてかどうか、「じゃあ、5000万ドルで入札しよう」と応じたという。

 「えっ? 5000万ドル!」

 その額はさすがに冗談だったらしいが、結局、そのまま1312万5000ドルで入札すると落札に成功。リンカーン氏はおそらく、任天堂が米国で売り出した「ドンキー・コング」が、ユニバーサル映画から「キングコング」の著作権を侵害していると訴えられ、法務チームを率いて勝訴したときよりも、安堵したのではないか。

 早速、日本へ飛び、イチローとの契約交渉が合意に達した後、リンカーン氏はイチローを伴って京都にある任天堂本社に山内さんを訪ねた。そのときのことが、今でも忘れられないという。

「一番、幸せそうだった」

 「あのときほどうれしそうな山内さんを見たことがなかった。一番、幸せそうだった」

 獲得を巡って、そうした様々な人の願いが込められたイチローが今週、3年ぶりにシアトルに戻ってくる。

 「17日(日本時間18日)に会えるのを楽しみにしている」

 先週、ワシントン州レドモンドの米国任天堂本社で、一連の経緯を懐かしげに振り返ってくれたリンカーン氏はおそらく、子供が、あるいは孫が帰ってくるときにみせるような優しい笑みを浮かべた。

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