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「驚くべき税制改革」混迷のリスク

2017/4/11 14:51
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 地政学的リスクへの対応がトランプ米政権喫緊の課題となるなかで、市場が期待する「驚くべき税制改革」の行方は混迷の度を深めている。

 税制改革案については、ムニューシン財務長官が8月までに議会通過を目指す決意を語っていた。

 しかし、ここに来てトーンが明らかに変わってきた。スパイサー大統領報道官が定例記者会見で、「8月までに議会を通過させたいが、コミットはできない」旨を語ったのだ。さらに「来年の今ごろには確定申告で減税が実現できることを望む」とも述べた。

 この発言には伏線がある。「トランプ税制改革案がゼロから見直しを余儀なくされている」との報道があったのだ。それを否定するかたちで、スパイサー氏の発言が出てきた。

 減税案については、「歳入の中立性」すなわち、財政均衡の立場から減税分を賄うための歳入増を求める声が共和党内に強く、まとまらない。輸入に課税し、輸出を優遇する「国境調整税」には賛否両論が渦巻く。付加価値税から炭素税まで、さまざまな代替案も議論されている。そこで米軍がシリアを攻撃したため、税制改革に関する議論も滞りがちになる。

 そもそも、就任直後に、トランプ大統領が「税に関する驚くべき発表を2~3週間以内にする」と大見えを切り、株式市場は一気に盛り上がった経緯がある。それがいまだ、案の骨子も見えない。

 それでも、マーケットは「インフラ投資、大型減税、規制緩和は時間がかかる」と決め込み、期待を捨てきれずにいる。

 この「アメ」があればこそ、シリアや北朝鮮といった地政学的リスクに屈することなく、マーケットはなんとか持ちこたえているわけだ。

 トランプ政権内の主導権争いも顕在化している。特にトランプ大統領の長女の夫、クシュナー氏と、政権の「黒幕」ともいわれるバノン氏の確執は深刻なようだ。結局は「家族の意見」が重んじられ、バノン氏は譲歩せざるを得ない。シリア攻撃も「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」にこだわり他国への干渉を否定するバノン氏を、クシュナー氏が押し切ったとされる。攻撃を決めた会議の公開された写真を見ると、クシュナー氏はテーブル席、バノン氏はテーブルから離れた椅子席と、現在の力関係を想像させる。

 そして、税制改革については、ムニューシン財務長官、ロス商務長官、コーン国家経済会議委員長の3人が話し合っているとスパイサー報道官が述べているが、誰がまとめ役なのか判然としない。例えば、多国籍企業が海外に留保した利益を米国内に還流させて得た資金を、インフラ投資に使うか、法人税減税の財源に回すのかは意見が分かれる。

 トランプ大統領は、閣内で「自由な議論が展開されて当然」としてきたが、ここにきて、閣僚たちにまとまるように促しているようだ。市場も忍耐を試される展開である。

 医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案が撤回され、いよいよ、期待の「驚くべき税制改革」の議論へ進むかと思いきや、地政学的リスクの高まりで、またも後回しにされかねない。そもそも、トランプ政権の局長以下の組織がまだ決まっていない事例も少なくない。

 結果的に、もたつく財政政策より、論点が明確な金融政策が焦点となる相場展開が、イースター(復活祭)休暇明けも続きそうである。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経ヴェリタス「逸’s OK!」と日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層心理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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