最新の市場情報

※営業日はリアル更新
日経平均株価(円) 19,196.74 -55.13
日経平均先物(円)
大取,17/06月
19,200 -90

[PR]

豊島逸夫の金のつぶやき

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

急浮上する「米利上げ代替案」 FRBの資産縮小に市場身構え

2017/4/3 11:25
共有
保存
印刷
その他

 米連邦準備理事会(FRB)の利上げ回数を巡る思惑が債券や株式、外国為替の各市場を揺らすなか、「利上げを実施しなくても、同じような効果を期待できる政策手段」への注目度が高まっている。

 量的緩和の結果、4兆ドルを超える規模にまで膨らんだFRBの資産規模の縮小だ。具体的には、FRBが買い入れ、保有している米国債と住宅ローン担保証券を減らすことになる。

 現在は、FRBの保有債券が満期に達すると償還分が再び債券に再投資されるため、FRBの資産規模は減らない。基本的に「緩和姿勢維持」とされるゆえんだ。これが「再投資」されなくなると、その分、FRBの債券購入は減るので、実質的な引き締め効果をもたらす。結果的に、FRBの資産規模も縮小することになる。ゆえに、FRB資産規模縮小は、利上げに相当する政策効果あり、とみなされるのだ。

 3月31日、ニューヨーク連銀のダドリー総裁は外電インタビューで、「今年か来年のどこかで、保有資産を再投資せず償還することになっても驚かない」と述べた。この利上げ代替策が実行される場合には「利上げをいったん停止する可能性もある」とも語っている。

 市場は、今後の利上げ回数を巡る議論で「FRBの資産縮小による利上げ中断」のケースも考慮せねばならない。その場合、FRBの資産縮小による政策効果は利上げ何回分に匹敵するのだろうか。今後、米連邦公開市場委員会(FOMC)内での活発な議論から目が離せなくなる。

 未体験ゾーンの政策手段ゆえ、市場が過度に反応するリスクもある。2013年にFRBのバーナンキ議長(当時)が「量的緩和縮小の可能性」に言及しただけで市場は大混乱に陥った。いわゆる「バーナンキ・ショック」の記憶もいまだに鮮明に残る。

 そのバーナンキ氏は現在、自由な立場からの意見として、FRBによる資産規模の縮小に慎重な意見をブログで述べている。市場に流通する通貨量が、リーマン・ショック前には8000億ドル程度だったが、現在は1.5兆ドルにまで増加した。FRBスタッフの推計では、今後2.5兆ドルにまで増えそうだ。その理由には、経済成長や低金利、海外からのドル需要増加などを挙げている。FRBの保有する最適資産規模も現在は2.5兆ドル以上と見て、今後10年間には4.5兆ドルに増加するだろう、と書いている。故に「今後数年間に資産規模縮小を急ぐ必要性はない」という。

 FRBのイエレン議長は、FOMCで資産規模縮小が議論されていることは認めている。賛否両論に分かれる政策手段だけに、現在のFOMCで「永続的に」投票権を持ち、最も影響力のある一人とみられているニューヨーク連銀のダドリー総裁が具体的な可能性に言及したことに、市場も身構えざるを得ない。

 ときあたかも、31日に米商務省が発表した2月の個人消費支出(PCE)統計によると、インフレ指標(PCE物価指数)はノン・コアで前年同月比2.1%の上昇だった。物価上昇率はついにFRBの目標である2%を突破した。食品とエネルギーを除くコアの指数も1.8%上昇で、FRBの目標値に接近している。数あるインフレ指標のなかで、FRBが最も注目する数値ゆえ、FRBの金融政策正常化に向けた議論に対する影響も必至だ。

 今後、米国の利上げ回数を論じるときには、FRBによる資産縮小の規模も予測に加える必要が高まってきた。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経ヴェリタス「逸’s OK!」と日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層心理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

豊島逸夫が語り尽くす 金 為替 世界経済

出版:日経BP社
価格:1026円(税込み)

日経電子版マネー「豊島逸夫の金のつぶやき」でおなじみの筆者による日経マネームック最新刊です。

豊島逸夫の金のつぶやきをMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップマーケットトップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

豊島逸夫の金のつぶやき 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。