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オープンイノベーションが不可欠な時代 味の素
CTO30会議(9)

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2017/4/7 6:30
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日経BPクリーンテック研究所

 味の素は、100年前に“うまみ”成分のグルタミン酸で事業を開始し、食品から医薬品、化粧品、電子材料へと領域を広げてきた。アフリカや東南アジアに市場を拡大する一方で、国連との協力による「ガーナ栄養改善プロジェクト」やベトナム教育訓練省との共同での「学校給食プロジェクト」を実施し、各国の食の課題解決にも取り組んでいる。こうした活動を支えているものの一つは、海外の研究者とのオープンイノベーションだ。海外研究者との強いネットワークを持つ同社の尾道一哉常務執行役員に、オープンイノベーションの狙いや成功の条件などについて聞いた。

――オープンイノベーションの目的は何ですか。

写真1 味の素 尾道一哉常務執行役員(撮影:新関雅士)
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写真1 味の素 尾道一哉常務執行役員(撮影:新関雅士)

尾道 世の中の変化が激しく、商品が多様化して、味の素1社では技術開発できない時代になりました。技術の棚卸を定期的に実施して、社内の技術マップを作成し、強化する分野はどこか、足りない技術は何かを見定めて、当社に欠けているピースを外部から得るためにオープンイノベーションを推進しています。外部組織と連携して、外から良い技術やアイデアを取り入れるにはオープンイノベーションが欠かせません。

 オープンイノベーションのパターンは決まっていません。ベンチャー企業と共同で基礎研究を行うこともあれば、他の企業と互いの足りない部分を補完し合いながら具体的な商品を開発し市場投入するケースもあります。ガーナでは、国連と協力して慢性的な栄養不足という社会課題の解決に取り組んでいます。

 オープンイノベーションは、パートナー選びが重要です。お互いの思惑が一致しないと失敗してしまうからです。同じビジョンを持っていることは必要条件です。

――オープンイノベーションを進める体制について教えてください。

尾道 味の素には3つの研究所があります。食品研究所、バイオ・ファイン研究所、イノベーション研究所で、研究所の従業員は合計で約1000人。そのうち研究者が800人以上です。グループ企業を含めて世界全体では、約1700人の研究者がいます。

 研究テーマは、事業部からの要望で行うものが半分、残りの半分は全社戦略のテーマです。テーマ評価会議で選別し、研究開発推進委員会で検討して、最終的に経営会議でテーマを決定します。テーマごとにリーダーを任命し、リーダーが中心となって、オープンイノベーションの進め方を検討し、その枠組みを構築するわけです。リーダーは、多くの場合、40代の課長クラスから若手の部長クラスが担当します。2011年には、リーダーのオープンイノベーション推進を支援する専任組織が設置されました。

 実は、国内でオープンイノベーションを促進する組織を作る以前の2008年、米国にオープンイノベーションの戦略拠点「North American Research & Innovation Center(NARIC)」を設立しました。オープンイノベーションを組織として体系的に推進しようという動きが、このころに始まったのです。

――国内に先んじて北米にNARICを設立したのはなぜですか。

写真2 オープンイノベーションについて話す尾道常務(撮影:新関雅士)
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写真2 オープンイノベーションについて話す尾道常務(撮影:新関雅士)

尾道 北米には最先端の科学技術を研究する研究機関、大学、ベンチャー企業が数多くあって、研究者ネットワークを構築するのに適しているからです。

 最初は味覚の分野で研究者ネットワークを構築し、活動を開始しました。味覚分野で外部研究機関と連携できることが分かってからは、活動領域を栄養分野や再生医療、バイオ科学などに広げました。特に最近では、米国が先頭を走る再生医療とバイオ科学分野での活動が盛んに行われています。

――外部との連携ということでは、「Ajinomoto Innovation Alliance Program」という公募プログラムを実施していますね。

尾道 Ajinomoto Innovation Alliance Programは、世界中から研究テーマを募集するプログラムです。科学雑誌のNatureなどに広告を出して募集します。採用件数は毎年3件。選出された研究テーマには、年間10万米ドル(約1140万円)の研究費を2年間支給します。このため、多くの研究テーマが寄せられ、研究者や新しい研究テーマの発掘に大いに役立っています。

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